研究課題/領域番号 |
17K11992
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
申 基てつ 明海大学, 歯学部, 教授 (40187555)
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研究分担者 |
辰巳 順一 朝日大学, 歯学部, 教授 (60227105)
林 丈一朗 明海大学, 歯学部, 准教授 (50337507)
大塚 秀春 明海大学, 歯学部, 助教 (10271230)
鈴木 允文 明海大学, 歯学部, 助教 (60638518)
林 鋼兵 明海大学, 歯学部, 助教 (90777880)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | インプラント周囲疾患 / リスク因子 / 歯周病患者 / プロービング時の出血 |
研究実績の概要 |
歯周病患者の口腔機能回復治療における選択肢として,口腔インプラント治療は欠かせないものとなりつつある。しかし,近年,インプラント治療後の合併症であるインプラント周囲疾患の有病率は48%~88%と報告されている。インプラント周囲疾患は,炎症がインプラント周囲粘膜に限局するインプラント周囲粘膜炎と,炎症によりインプラント周囲骨が吸収するインプラント周囲炎に大別されるが,共通する臨床所見はプロ―ビング時の出血(BOP)である。したがって,BOPの有無はインプラント周囲組織が健康であるか否かを判別するうえで重要な臨床指標となる。しかし,インプラント周囲組織のBOPの分布についての報告は少なく,BOPが生じる機序については不明である。 これまでに129人の患者において,501本のインプラントおよび3006か所のインプラント周囲の検査部位の評価を行った。その結果,BOP陽性率は,患者レベルで40.3%,インプラントレベル26.7%,検査部位レベルで8.4%であった。BOP陽性と有意な関連性が認められたのは,患者レベルでは,インプラントの埋入本数,インプラントレベルでは,観察期間,改良型プラークインデックス,排膿,および粘膜可動性,検査部位レベルでは,プロ―ビング深さおよび検査か所(隣接面)であった。また,BOP陽性に関してロジスティック回帰分析を行った結果,オッズ比が高かったのは,改良型プラークインデックス,粘膜可動性,プロ―ビング深さであった。 これまでに行った研究結果から,プラークコントロールが不良であること,インプラント周囲粘膜に可動性があること,そして,ポケットが深いことがBOP陽性のリスク因子であることが示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床データのデータベース化ならびにデータ入力作業の進捗状況はおおむね良好であり,被験者数は既に100人を越えているが、今後さらに蓄積される予定である。 また、途中経過の段階においても多方面からの解析を実施しており、中間報告として本研究の業績の公表も行っている。
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今後の研究の推進方策 |
歯周治療後にインプラント治療を行った患者を対象として,引き続き調査を継続して行いつつ、インプラント周囲疾患と様々な臨床パラメーターとの関連性について詳細に検討を行い、最終年度として研究結果をまとめていく予定である. これまでの研究成果として,インプラント周囲のプロービング時の出血は,プロービングデプスと関連することが示されている.プロービングデプスは,従来からインプラント周囲疾患を診断するうえでの臨床パラメーターのひとつとして考えられているが,その基準値は文献によって様々であり,臨床的な意義も明らかではない.また,健康なインプラント周囲組織におけるプロービングデプスについての報告もほとんどない. 今後は,インプラント治療を行った歯周病患者において,インプラント周囲のプロービングデプスの分布と,プロービングデプスとプロービング時の出血との関連性についても検討を行っていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に外国にて成果発表するための予算を計上していたが,学務等の事情により国際学会に参加できなかったため,まだ執行していない. 統計ソフトSPSSベーシック統計モデルを購入予定であるが,現時点では簡易型ソフトで対応しているため,今後執行する予定である. これらの予算が未執行であるため次年度使用額が生じているが,最終年度にすべて執行する予定である.
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