研究課題/領域番号 |
17K11997
|
研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
山本 弦太 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (30421241)
|
研究分担者 |
茂木 眞希雄 愛知学院大学, 薬学部, 准教授 (00174334) [辞退]
三谷 章雄 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (50329611)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ANGPTL2 / オートクライン / パラクライン |
研究実績の概要 |
近年、がんや生活習慣病などに共通する基本病態として「慢性炎症」が注目されており、新規慢性炎症関連因子としてアンジオポエチン様タンパク質 2(Angiopoietin-like protein 2 : ANGPTL2)が報告され、ANGPTL2しぐなる制御によるがんや糖代謝異常の新しい治療戦略の可能性が示唆されている。しかしながら、歯周病における ANGPTL2 の関与についてはほとんど知られていない。申請者らは、このANGPTL2に着目し、歯肉溝滲出液において検出されること、また歯肉上皮細胞であるCa9-22細胞およびHGECsにおいて歯周病原細菌由来LPS刺激により産生され、またANGPTL2 siRNA形質導入により歯周病原細菌由来LPS刺激により 産生される炎症性サイトカイン(IL-1β,IL-8, TNF-α)の有意な抑制を確認している。本研究課題では、歯周病におけるANGPTL2の役割についての基礎的研究として、歯肉上皮細胞でのANGPTL2の機能を明らかにすることを目的とする。 申請者らは、ANGPTL2レセプターあるインテグリンα5β1を中和抗体にてブロックすることによっても歯周病原細菌由来LPS刺激による炎症性サイトカイン 産生が抑制されることを確認した。また、rANGPTL2刺激により歯肉細胞外マトリックス破壊に関与することが知られているマトリックスメタロプロテアーゼ mRNAの発現が増強されることも明らかにした。rANGPTL2刺激により歯肉線維芽細胞株であるHGFでは各種炎症性サイトカイン産生の発現増強を認めたが、歯肉上皮細胞ではバリア機能に関する細胞間接着分子に有意な変化は認められなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
諸事情により研究遂行に不可欠な研究分担者の削除をしなくてはならず代替者による対応も困難であった。さらにはANGPTL2 産生に関わる候補因子として予定していたMIFを RNA 干渉によりノックダウンし実験を進めていたが予想に反し、結果が得られず研究計画の変更を必要としたため大幅に研究の遅れを生じることとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続きANGPTL2のパラクライン作用についてヒト歯肉線維芽細胞株であるHGFおよびヒト骨芽細胞様細胞 U2OSを用い、ANGPTL2刺激による炎症性サイトカイン産生、MMP活性、RANKL発現などについて各種検討を行って行く。また歯周病におけるANGPTL2 産生経路についての検討については再検討した候補因子についてsiRNA形質導入によりANGPTL2 産生に及ぼす影響について検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
引き続きANGPTL2のパラクライン作用を中心に歯肉線維芽細胞株であるHGFと骨芽細胞様細胞U2OSを用い、ANGPTL2刺激による炎症性サイトカイン産生、MMP活性、RANKL発現などについて各種検討を行って行く。また歯周病におけるANGPTL2 産生経路の検討については再検討した候補因子をsiRNA形質導入することにより詳細なANGPTL2 産生に及ぼす影響について検討する予定である。
|