研究課題/領域番号 |
17K11998
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
西田 英作 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (10512519)
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研究分担者 |
相野 誠 愛知学院大学, 歯学部, 招へい教員 (20572811) [辞退]
神谷 洋介 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70572808)
後藤 久嗣 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (10783037)
小林 周一郎 愛知学院大学, 歯学部, 招へい教員 (80750190) [辞退]
齋藤 正寛 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40215562)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歯槽骨再生 |
研究実績の概要 |
NEBL(Nebulette)は、先行研究にてヒト歯槽骨由来骨芽細胞(human alveolar bone osteoblastic cell: HAOB)の採取、培養方法を確立した際に、HAOBに特異的に発現していることが明らかになったアクチン結合タンパクであり、NEBLを骨分化能力維持に関わるキー分子として注目している。しかしNEBLは骨分野においての研究報告は皆無で、その機能は骨分化カスケードにおいて不明である。本研究はNEBLについて分子生物学的解析を詳細に行い、その骨分化における機能を明らかにし、細胞移植治療時に使用できる、骨分化能力を維持できるサプリメント、創薬となりうるか基礎的研究を行うことを目的とする。 NEBLが発現低下する継代回数にNEBLリコンビナントタンパクをマウスAOBに添加し、NEBLの発現もしくは骨分化能力がレスキューされるか、または骨分化カスケードにおいてどのような機能を担っているか、解析するために以下の研究計画、実験方法を以下3項目に示す。1、マウスAOB(MAOB)の採取、培養。2、MAOBにおけるNEBL発現確認。 3、MAOBにおけるNEBL添加による骨分化カスケード関連因子の発現解析(遺伝子レベル)。4、MAOBにおけるNEBL添加による細胞骨格再編機能、骨分化カスケード関連因子の発現解析(タンパクレベル)に目的をわけ、研究を遂行していく。 平成29年度は1、2の項目について実験を予定していた。1に関してはMAOBの採取、初代培養は成功した。2に関しては継代培養、RNA抽出の条件を検索した。平成30、31年(令和1年)度は3.4の項目について、検討し、令和2年度でまとめ論文を投稿する予定であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は「MAOBの採取、培養を行い、それぞれの継代回数で骨芽細胞分化誘導実験を行い、NEBLが最も顕著に発現低下し始める継代回数を解明する」と研究計画していた。先行研究では中高齢者の歯槽骨よりHAOBを培養したことから、50週齢以上のC57BL/6Jマウス3匹の下顎からaged MAOBを培養することにも成功した。MAOBは現在7種類をそれぞれ3フラクション、2継代で凍結している。そのうち7継代で骨分化能力が低下することがアリザリンレッド染色でわかった。平成30年度は「NEBLの、MAOBにおける活性化および抑制する機構、細胞骨格再編機能を予測し、機能解析を行う」ことを目標としていたが限りあるprimary培養細胞を使用する前に、まずはマウス骨芽細胞株Kusa-A1細胞を使用して手技の確認をおこなった。Kusa-A1細胞をD-MEM培地と骨分化誘導培地で7日間培養し、骨関連遺伝子を含めNEBLの発現確認を行なったところ、骨分化誘導培地で培養したKusa-A1細胞は骨分化後期に関連する遺伝子群の発現が上昇し、NEBLの発現は見られなかった。Kusa細胞の遺伝子発現の結果の一部は今年度発表した英論文の一部として採用した。以上の結果から、実験手技の確立はできたため、MAOBを骨分化誘導培地で培養し、遺伝子発現を確認していく。 平成31年(令和1年)度は、NEBLマウスリコンビナントの物品確保についてはマウス型が入手困難のためヒト型を使用する予定であったが、コロナ禍のために延長した令和2年も研究が滞ってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
NEBLの、MAOBにおける活性化および抑制する機構、細胞骨格再編機能を予測し、機能解析を行うため、NEBL遺伝子発現に関する手技の確立はできたため、MAOBを骨分化誘導培地で培養し、遺伝子発現を確認していく。一旦凍結するとMAOBが成長しない現象が起こり7継代以降は成長しないかつ骨分化能力が低下することがアリザリンレッド染色でわかった。NEBLを指標にした本実験は、特にNEBLタンパクがコロナ禍で入手できないため行えないこと、Primary細胞を使用しなければいけないため、研究室入室制御が施行された場合、継続的な実験が行えないため、若干の方向転換が必要かもしれない。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究はやや進行が遅れている、コロナ禍のため研究が行えない次回があったために、未使用額が生じた。Pre実験であったKusa細胞の遺伝子発現の結果の一部は今年度発表した英論文の一部として採用し、採択されたが、掲載料(約24万円)が年度をまたぐ可能性があったため令和3年度へ再度延長の申請をした。予想どおり、掲載は本年度行われたが、精算に難しては年度を跨いでしまったため、次年度に使用していることが確定している。その他、骨分化誘導実験に使用するリコンビナントプロテインを購入予定である。
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