研究課題/領域番号 |
17K12001
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
内藤 徹 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (10244782)
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研究分担者 |
内藤 真理子 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (10378010)
牧野 路子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (50550729)
加藤 智崇 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (40724951)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 要介護度 / 要介護認定 / 口腔関連QOL / 口腔指標 / 施設入所 / コホート研究 / 質問票調査 |
研究実績の概要 |
長寿社会を迎えた今、口腔の機能を維持することが、どの程度QOLに影響を及ぼしているかということは重要な事項である。今回の研究は、2006年に口腔の状況とQOL尺度との関係を調査した4317名の40歳以上の成人の歯科治療受診者からなるコホートを対象に、10年を経過した現在、現在の口腔指標の再調査を行い、口腔の健康を維持することがQOLの維持に貢献したかどうか、あるいは要介護の状態の回避につながったかということを調べることを目的として計画した。 今回の研究は、2006年に40歳以上の成人の歯科治療受診者を対象に口腔の状況と口腔関連QOL尺度および包括的QOL尺度との関連のベースライン調査を終えたコホート集団に対して追跡調査を実施し、ベースライン調査後10年を経た現在の口腔指標の変化とともに、口腔関連QOL尺度および包括的QOL尺度がどのように変化したか、さらには要介護認定を受けているあるいは要介護高齢者施設に入所している状態が口腔の健康と関連があるのかといった、今後の日本にとって喫緊の課題を調査するものである。研究は、2006年に調査協力機関の診療施設を受診した患者のうち、同意のとれたものから、おもに質問票調査の手法により、QOL関連指標や歯周病関連の臨床情報などのベースライン情報を収集した約4317名の歯科受診者からなるコホートを対象として行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度においては、2006年に全国の26の研究協力歯科医院においてエントリーした4317名の成人の歯科治療受診者を対象に、口腔の状況と口腔の健康関連のQOL尺度および全身の包括的QOL尺度との関連を調査するための各歯科医院における診療記録の突き合わせを行っている。これにより、各歯科医院からコホートの対象患者へのアクセスを確実にし、再度のデータ収集が可能になる。 また、2006年のベースラインデータおよび2007年の追跡データの解析を行い、口腔関連QOLの低下に関連する因子の分析を行っている。 今年度においては、インフォームドコンセントに同意のうえ調査にエントリーした者を対象に、前向きコホート研究の手法で追跡を行う。ベースライン調査は2006年度内に終えており、4317名のコホートが管理されている。研究対象者は、日本ヘルスケア歯科研究会において疫学指標の採取のトレーニングなどを終えた認証施設の歯科治療受診者のうち、研究に対する文書による同意のとれた患者である。全国26カ所の調査協力機関(日本ヘルスケア歯科研究会所属認証歯科医療施設)の診療施設において2006年に調査にエントリーした4317名のうち、追跡調査に同意のとれたものに対して、口腔診査を行うと同時に、質問票によりQOL関連指標や全身疾患の既往、要介護度などの情報を収集する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度においては、全国26の協力歯科医院を通じて、コホートにエントリーした対象患者の口腔指標の再度の採取と、要介護度や施設入所の有無、口腔関連QOLの採取等を実施する。そのうえで、ベースライン調査の際のデータとの突き合わせを行い、解析を開始するつもりである。 解析の要点としては、10年間の口腔指標の変化、10年前の口腔指標と現在の要介護度の状態や施設入所の有無、10年間の口腔指標の変化と要介護度の状態や施設入所の有無との関連とする。対象患者からの要介護度の状態の採取は容易ではないが、協力歯科医院を通じての調査および電話によるインタビューも試み、正確な情報の収集に努めるつもりである。 歯科診療所において口腔診査を行い、口腔関連パラメータを採取すると同時に、各診療施設の診療録から得られる治療記録および口腔関連基礎情報を収集する。また、診療施設待合室などで自記式の質問票によって、健康関連情報およびQOL関連指標の採取を行う。質問紙により収集する情報は、包括的QOL尺度としてSF-8、口腔関連QOL尺度としてGOHAI(Geriatric Oral Health Assessment Index)を採用する。また、口腔の健康と抑うつとの関連を示唆する研究が報告されていることからおもに抑うつを測定する尺度として用いられているGHQ-12(General Health Questionnaire)を質問項目に採用する。また、年齢、性別、身長、体重や、口腔清掃習慣などに関する質問項目も含める。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査関係機関との調整が必要なため、質問票調査に遅れが生じているため。
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