今回、観察疫学研究の中で最もエビデンスレベルの高い前向きコホート研究である「九州・沖縄母子保健研究」のデータを活用して、小児齲蝕のリスク要因及び予防要因を探索する。 「九州・沖縄母子保健研究」には、妊娠中のベースライン調査に1757名の妊婦が参加した。出生時、4か月時、1歳時、2歳時、以後1年毎に8歳時まで、毎年追跡調査を実施した。10歳時以降、同様に、毎年追跡調査を実施している。各追跡調査が終了次第、データベースを作成し、それ以前のデータとリンケージしている。10歳時追跡調査には、最終的に1047名が参加した。2019年度は、2018年7月より開始した11歳時追跡調査を継続しつつ、2019年7月からは、12歳時追跡調査を開始した。12歳時追跡調査では、質問調査票により、受動喫煙、身体活動、体格、視力、過去1年のう蝕発症、発達、思春期初来の徴候等の情報を得ている。 追跡調査では、子の誕生日の2週間前を目処に質問調査票を発送した。誕生日を2週間過ぎても回答済みの質問調査票の返送が無い場合は、研究事務局より電話で対象者の保護者に連絡をした。返送された質問調査票は研究事務局にて記入漏れ等を電話等で確認し、データの質を高めている。11歳時追跡調査が完了し、データベースの構築を開始した。これまで実施したベースライン調査及び各追跡調査のデータとリンケージを行い、論文を執筆する。 3歳時追跡調査までのデータを活用して、出生後4ヶ月時の子の唾液コチニン濃度と、1歳6ヶ月時、及び3歳時う蝕との関連について解析を実施したが、統計学的に有意な関連は認めなかった。引き続き、1歳6ヶ月から3歳時、及び3歳時から6歳時のう蝕歯数増加と関連する要因を探索する。
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