研究課題
日本歯科医療管理学会会員を対象にオンラインによるウイルス性肝炎の知識と実態調査を行った。結果:HBワクチン接種率71.2%、扁平苔癬に代表される肝外病変の認識39.8%、スタンダードプレコーションの認識82.4%、患者毎にディスポーザブル手袋を変える頻度73.2%、高速回転切削器具の滅菌率69.3%、低速回転切削器具の滅菌率56.9%、エアータービン用ハンドピースの滅菌率77.1%、エンジン用ハンドピースの滅菌率69.9%、根管治療器具の滅菌率63.4%など。各々の回答をスコアリングし統計解析を行った結果、開業歯科医は大学病院勤務医に比べ、有意に感染対策に関するリスクスコアと認識不足スコアが高いこと、男性歯科医は女性歯科医に比べ有意にリスクスコアと認識不足スコアが高いことがわかった。さらに、歯科介入によるウイルス感染患者の拾い上げについて前向き調査を行った。対象は文書による同意を取得した複数の歯科医院(山口県、島根県)である。3ヶ月間(調査期間2017年11月~2018年1月末)の歯科受診患者総数、HCV感染者数、HBV感染者数、口腔扁平苔癬(OLP)数、OLP患者におけるHCV感染率、肝疾患患者に対する受診勧奨数、OLP患者に対する肝疾患の受診勧奨数を調べた。結果:患者総数5,091名、HCV感染者数40名、HBV感染者数13名、OLP患者数15名。ウイルス性肝疾患患者53名の内訳は、C型慢性肝炎26名、C型慢性肝炎治療中1名、SVR13名、B型慢性肝炎9名、HBV無症候性キャリア4名であった。未治療の肝疾患患者に対する受診勧奨数1名(DAA導入)、OLP患者に対する肝疾患の受診勧奨数並びに肝炎ウイルス検査実施数11名(73%)(SVR1名、正常肝10名)、OLPのHCV感染率6.7%であった。歯科と医科の医療連携を通して未治療の肝炎患者を拾い上げることが可能である。
2: おおむね順調に進展している
計画通りに進行中であり、特に問題ない。
国内の複数の地域で、歯科を介した治療勧奨について前向き調査を実施し、データをまとめる予定である。
2018年度に取り組んだオンライン調査の統計解析は共同演者によって行われたため、費用がかからず未使用額が生じた。さらに、複数の医療機関を対象に実施した前向き研究について、英文誌の論文掲載料が無料となったため(期間限定無料)、未使用額が生じた。このため、これらの未使用額を検診調査や啓発活動(学会発表含む)の経費に充てることにしたい。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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http://zoukisoukan.med.saga-u.ac.jp