研究課題/領域番号 |
17K12019
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
葭葉 清香 昭和大学, 歯学部, 講師 (60555358)
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研究分担者 |
鎌谷 宇明 昭和大学, 歯学部, 准教授 (00315003)
椋代 義樹 昭和大学, 歯学部, 助教 (50325099)
栗原 祐史 昭和大学, 歯学部, 講師 (90514969)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 心臓弁膜症 / 口腔内細菌 / クローナリティー / 網羅的解析 |
研究実績の概要 |
口腔細菌は、口腔内で病原性を発揮するだけではなく、抜歯等の観血的な処置によって血液中に侵入することが知られている。菌血症は、健常者では一過性であるが、ある種の心疾患を有する対象では心臓の弁膜や心内膜に血小板やフィブリンと細菌の塊を形成し、感染性心内膜炎の発症につながることがある。一方で、菌血症は侵襲的な処置だけではなく、日常の口腔清掃によっても度々生じている可能性があるとされており、口腔細菌の血液中への侵入は、一般に考えられているよりも高頻度であることが想定される。このことは、口腔細菌が血流を介して様々な組織や臓器に到達し、これまでに解明されていない影響を及ぼしている可能性を示唆している。近年、口腔細菌と糖尿病、誤嚥性肺炎、低体重児出産、早産、関節リウマチなどの全身疾患との関連に焦点が当てられており、口腔細菌の及ぼす各種全身疾患への影響が注目されているが、遺伝子解析によるクローナリティーを報告した報告は少ない。 今回我々の研究は、病因や進行度、病理組織学的因子との関連に未だ不明な点が多い心臓弁膜症に着目し、対象患者の口腔内より検出された菌、心臓弁組織あるいは疣贅から検出された菌が同一クローンであるかの検討を行う。解析結果より、口腔内細菌と心臓弁膜症の病態、進行度、病理組織学的因子との関連を明らかにし、周術期口腔機能管理の有効性を検証することを目的とする。本研究の結果より、心臓弁膜症の病態や臨床病理学的因子に口腔内常在菌の関連が示唆されることで、周術期医療において歯科医師の行う口腔機能管理の有効性が検証できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心臓弁検体の収集に時間を要したことと、心臓弁・口腔内プラークからのDNA抽出手技の確立に時間がかかった。細菌叢解析の結果、得られたシークエンスデータの情報解析に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
実験手技の確立に時間を要したものの、心臓弁検体・口腔内プラークから得られたDNAから細菌叢解析を行うことができ、遺伝子配列を特定することができた。今後、、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)による相同性検索を行った後に、論文としてまとめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の遂行過程において、臨床検体からのDNA抽出に時間を要したため、シークエンス解析を行うまでに至らなかった臨床検体があるため、次年度使用額が生じた。臨床検体のゲノムは準備できているため、本年については予定通り予算を使用できると考えている。
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