研究課題/領域番号 |
17K12027
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
合田 征司 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (70351476)
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研究分担者 |
井上 博 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (10330143)
佐藤 武則 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 助教 (40638904)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 慢性歯周炎 / p38MAP kinase |
研究実績の概要 |
抗炎症作用として注目されている内因性の細胞外マトリックス分解酵素阻酵素であるTissue inhibitor of matrix metalloproteinases (TIMP)の歯肉線維芽細胞における発現を追求し、この結果を元に慢性歯周炎抑制機序を検討することは重要である。これまで我々は、炎症下における骨芽細胞や線維芽細胞における細胞外マトリックス分解酵素であるmatrix metalloproteinases (MMPs)の産生機序および歯周組織破壊に及ぼす影響を明らかにしてきたが、その内因性阻害酵素TIMPについては重要視されておらず、このことが慢性歯周炎発症機序および抑制機序にいての研究の発展を妨げている。歯肉線維芽細胞におけるTIMPの産生機序を明らかにすることにより、内因性の慢性歯周炎抑制機序を明らかとすることを目標し、本研究成果は内因性の酵素のため将来的に慢性歯周炎の効率の良い安全な治療法の現実化の可能性をもつと考えられる。そこで、創傷治癒や歯周組織再生に関わっているサイトカインであるbFGFよる歯肉線維芽細胞のTIMP-1産生機序について解明したい。歯肉線維芽細胞の創傷治癒における細胞内シグナル伝達経路の詳細を明らかにするために、以下の検討を行う。①歯肉線維芽細胞におけるp38MAP kinase阻害剤のbFGF刺激によるTIMP-1の産生に及ぼす影響を検討する。②歯肉線維芽細胞におけるbFGF刺激によるp38MAP kinaseα、β、γ、εの活性化を検討する。③p38MAP kinaseα、β、γ、εの阻害剤におけるbFGF刺激によるTIMP-1の産生に及ぼす影響を検討する。④p38MAP kinase ノックダウン歯肉線維芽細胞におけるbFGF刺激によるTIMP-1の産生およびシグナル伝達経路を解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は創傷治癒や歯周組織再生に関わっているサイトカインであるbFGFよる歯肉線維芽細胞のTIMP-1産生機序について解明するために、我々は、ウエスタンブロッティング法により歯肉線維芽細胞におけるbFGF刺激により歯肉線維芽細胞のMMP-1およびTIMP-1産生能の検討を行った。その結果、bFGF濃度依存的にMMP-1およびTIMP-1産生産生が増強する結果を得た。同時に各種p38阻害剤を用いてMMP-1およびTIMP-1産生能の検討を行った。その結果、p38αkinase阻害剤においてTIMP-1産生能の増強が認められたが、他の阻害剤ではいずれも抑制を認めた。我々は、予想と反してp38αkinaseはTIMP-1産生経路におけるnegative regulatorの可能性があると考え、siRNA法を用いてp38αkinase p38α knock down 細胞作製中である。更に我々は、慢性歯周炎における歯肉線維芽細胞におけるTIMPの産生を確認するためにマウスにpg菌を感染させ歯肉線維組織おける病理組織像にp38αkinase の発現を確認するため実験を進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
慢性歯周炎の発症機序解明のためにFGF刺激により歯肉線維芽細胞のTIMP-1産生能の検討を行う予定である。計画としてp38MAP kinase ノックダウン歯肉線維芽細胞を作製する。p38MAP kinase ノックダウン歯肉線維芽細胞におけるbFGF刺激によるTIMP-1の産生を検討する。p38MAP kinase ノックダウン歯肉線維芽細胞におけるbFGF刺激によるシグナル伝達経路を解析する。さらに、予想と反してp38αkinaseはTIMP-1産生経路におけるnegative regulatorのいう結果が示唆されたため、当初実験計画になかったマウスpg菌感染実験において歯肉固有層におけるTIMP-1の産生とp38αkinase の発現を確認する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞培養の物品購入に充てる予定である。
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