研究課題/領域番号 |
17K12028
|
研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
木本 一成 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (60205010)
|
研究分担者 |
Bhawal Ujjal 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (50433339)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 中性低濃度フッ化物応用 / 中性高濃度フッ化物応用 / 徐放性フッ化物イオン / 低温焼成型吸収性合成ハイドロキシアパタイト / TOYOビーグル犬顎骨 / 創傷治癒過程 / FOXO1転写因子 |
研究実績の概要 |
低濃度フッ化物(以下Fと略す)は、骨や歯の硬組織に対して高い親和性を有する。申請者らは、低濃度Fの全身投与が実験的歯周病モデルラットでの歯槽骨吸収の抑制メカニズムを解析し、また上皮間葉相互作用を刺激して、上皮の形態発育ならびに再生を促進することを確認した。さらに、低濃度Fの研究結果よって、ヒト骨芽細胞様細胞の遊走能、増殖能ならびにALP活性の向上を認め、歯周治療や口腔インプラント治療に重要であることを示唆した。 低濃度Fは口腔粘膜の再生、発育に有益な元素であることから、本研究では創傷治癒に着目し、口腔インプラント臨床におけるメインテナンスでの中性低濃度F応用によって、創傷治癒マスター転写因子であるFOXO1転写因子の分子機構の創傷治癒メカニズムを解明することにある。 平成29年度では、中性低濃度F(0.2%NaF水溶液)および高濃度F(4%NaF水溶液)の創傷治癒過程に及ぼす効果について検討した。低温焼成型吸収性合成ハイドロキシアパタイト(以下HAと略す)に中性低濃度F、あるいは高濃度Fの水溶液を応用させ、生後24月齢のTOYOビーグル犬顎骨の骨欠損部にそれぞれのHAを埋入し、免疫組織化学染色法によって、HAからの徐放性FイオンによるFOXO1、MMPs等のタンパク発現を明らかにする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
下顎骨埋入処理を鑑み、日本白色雄性ウサギからTOYOビーグル犬(雌)に実験動物を変更した。しかしながら、同一月年齢のTOYOビーグル犬の確保に時間を要し、以下の進捗状況にあって、当初の計画よりやや遅れている。 既に、TOYOビーグル犬全12頭の両側下顎臼歯の抜歯を完了している。 抜歯3か月後のTOYOビーグル犬において、F未処理のHA、低濃度Fあるいは高濃度F応用後のF処理HA(またはポジティブコントロールとしてβ-TCP)を埋入して、4日、7日、14日経過後における、HA埋入後の骨欠損部から採取した新生骨用物質について、現在タンパク発現を解析している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度前期で、HA埋入後の骨欠損部から採取した新生骨用物質を解析中である。その後、後期において歯肉上皮細胞、歯肉線維芽細胞、歯根膜細胞における濃度依存的Fの機能を評価する。Fの骨分化能を評価するために、低濃度Fおよび高濃度Fをコートしたチタン基板を用いて歯肉上皮細胞、歯肉線維芽細胞、歯根膜細胞における創傷治癒能を評価する。各群をコートしたチタン基板を6穴培養ディッシュに静置後、MC3T3-E1を基板表面に播種し、培養一定期間(6時間、12時間、24時間、48時間、72時間)ごとにリアルタイムPCR法にてmRNA発現を調べる。
平成31年度では、濃度依存的Fの骨分化能に対してのin vitro評価を行う。低濃度Fおよび高濃度Fをコートしたチタン基板を用いて、マウス骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)の骨分化能を評価する。各群をコートしたチタン基板を6穴培養ディッシュに静置後、MC3T3-E1を基板表面に播種し、培養一定期間(1日、3日、7日、14日)ごとの細胞数とアルカリフォスファターゼ(ALP)活性を測定する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験計画の変更から、物品費等の使用額に差異が生じた。
|