研究課題/領域番号 |
17K12030
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
野村 義明 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (90350587)
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研究分担者 |
岡本 公彰 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (30116008)
武内 博朗 鶴見大学, 歯学部, 臨床教授 (50572260)
花田 信弘 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70180916)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 口腔細菌叢 / 次世代シークエンサー / バイオインフォマッテクス / コアマイクロバイオーム |
研究実績の概要 |
本年度は岩手県において100歳調査を実施し、現在も継続中である。現在のところ4名の100歳高齢者から、歯垢および舌苔のサンプルを採取し、比較検討を行っている。今までに蓄積してきた歯周病患者の歯垢サンプルと比較した結果、100歳高齢者、歯周病患者、歯周病治療後の患者すべてから検出された菌種はVeillonella dispar、Gemella haemolysans group、Streptococcus sanguinis、Streptococcus_ucの4菌種であった。100歳高齢者から多く検出された菌種の上位10菌種はStreptococcus salivarius group、Veillonella parvula group、Veillonella dispar、Streptococcus gordonii group、Streptococcus pneumoniae group、Streptococcus sobrinus、Rothia dentocariosa、Streptococcus sinensis group、Streptococcus downei group、Prevotella histicolaであった。100歳高齢者全員から検出され、歯周病患者および歯周病治療後の患者から検出されなかった菌種は33菌種存在した。100歳高齢者からのみ検出された菌種はRothia dentocariosa、Rothia mucilaginosa、Prevotella jejuni、Rothia_uc、Actinomyces oris、Selenomonas_ucの6菌種であった。 100歳高齢者の歯垢と舌苔の比較では、全員の歯垢、舌苔の両方から検出された菌種は29菌種であった。全員の歯垢から検出され全員の舌苔から検出されなかった菌種はActinomyces timonensisの一菌種であった。逆に舌苔のみから検出されたのはActinomycetaceae_uc_sの一菌種であった。 今後はさらに例数を増やし、コアマイクロバイオームの概念の確立を目指す予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度実施した100歳高齢者調査では当初は対象者数が不明であった。市町村の協力により対象者数が15名であることが判明したのが10月であった。その後、訪問調査を開始したが、対象者の年齢、体調に配慮し、冬期の調査は見送った。以上の理由で、調査及び検体の分析に遅れがでた。しかし、今までに採取した検体の分析は問題なく終了しており、分析結果から、100歳高齢者に特徴的な口腔細菌叢が存在する可能性が示唆されている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は100歳高齢者調査を継続して行う予定であり、最大11名分の検体が入手可能である。 また、新潟県において、90歳高齢者の調査が計画されており、最大100名の対象者が見込まれている。この調査は会場健診形式で実施するため、訪問調査と比較して費用、労力の両面において効率良く検体を採取することができる。次年度はこれら2つの調査により健常高齢者の口腔細菌叢の解析が大きく進展するものと思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は岩手県で実施した100歳高齢者調査の対象者数が10月まで未定であり、対象者の年齢を考慮し、冬季の調査を見送った。このため、検体の収集が遅れたため受託分析を依頼することができなかった。しかし、次年度は100歳高齢者調査の継続があるとともに、新潟県において90歳調査を予定している。この調査は会場健診の形式を予定しており、効率よく検体の収集が可能で、100名前後の対象者が生存しておりこの調査に参加し、検体を収集する予定である。
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