研究実績の概要 |
本研究は、歯科医療従事者が喫煙関連の口腔疾患患者に対して直接禁煙介入をすることにより患者の禁煙に寄与することと、これらタバコ煙による口腔組織に対する直接的、間接的影響を除去することで、既存の口腔疾患の改善率を明らかにすることを目的として計画した。 禁煙介入による禁煙継続率に関する解析データ(n=74)は揃い、現在論文作成中であり、研究結果の要旨は下記のとおりである。 被験者のうち、61人の被験者は禁煙介入を実施し、喫煙関連口腔粘膜疾患の患者の85%が介入に同意し、以下歯周炎(60%)、インプラント患者(63%)と対象者のうち喫煙関連口腔粘膜疾患が最も高かった。唾液中のコチニン半定量法と呼気一酸化炭素濃度(CO)による生化学的に確認された平均禁煙率は、3か月目で39.3%、6か月目で36.1%、12か月目でそれぞれ34.4%であった。インプラント治療を受けた患者は、生化学的に禁煙が確認された禁煙率が12か月で42.9%と最も高く、次いで喫煙関連口腔粘膜疾患が40.0%、歯周炎が21.1%であった。非介入群と比較した介入群の3、6、12か月の継続的な生化学的に確認した禁煙継続率の調整オッズ比[95%CI]は、それぞれ3.57 [0.73, 17.53], 5.14 [1.01, 26.27], 7.16 [1.29, 39.92]であった。本禁煙介入研究は、歯科口腔専門家によるタバコ関連口腔疾患患者に対する禁煙支援・治療が歯科領域における不可欠な医療行為であることを示唆している。喫煙関連口腔疾患のうち、歯周病に関する疾患改善度に関しても現在論文作成中である。HPV-DNAの解析については若干時間を要している。年度内に学会発表を予定している。
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