研究課題
本研究は、歯周病と消化器癌(胃癌および大腸癌)との関連性を臨床・基礎研究の両面から解明することを目的とした。詳細としては、疫学調査や唾液を用いた歯周病原性細菌(歯周病原菌)の存在調査という臨床研究と併行して、摘出病理組織での歯周病原菌の存在調査、さらには、正常上皮および癌細胞を用いた癌発症や癌細胞増殖、さらには転移性獲得における歯周病原菌および内毒素の関与およびそのメカニズムの解明という基礎研究を遂行し、歯周病と消化器癌との関係の全貌を解明することを目指した。今年度は、昨年度までに得られた臨床研究(後向き疫学研究、唾液における歯周病原菌の検出についての前向き研究)のデータ解析および病理組織標本を用いたPCR解析を行った。詳細としては、九州大学病院との多施設共同研究により、胃癌および大腸癌患者の残存歯数、歯周病の重症度、癌の重症度やTNM分類といった項目について、疫学研究を行うとともに、一部患者から唾液採取を行い、リアルタイムPCR法を用いて代表的な歯周病原菌の存在の有無およびそれぞれの菌数を計測し、臨床的に検討した。さらに、患者から摘出した病理組織標本を用いてFusobacterium nucleatum、Porphyromonas gingivalisに血管や大腸の炎症に関与すると考えられているう蝕病原細菌であるStreptococcus mutansを加え、それらの存在について、RT-PCR法にて検討した。一方、基礎研究に関しては、高転移性ヒト大腸癌(腺癌)細胞であるSW-480を用いて、LPS刺激による各種大腸癌マーカー(CEA、NCC-ST-439、STN、Matriptase)の検出実験を行ってきたが、良好なデータは得られなかった。現在、以上の結果を、臨床研究を中心とした論文作成中である。
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European Journal of Pharmacology
巻: 895 ページ: 173881
10.1016/j.ejphar.2021.173881.