研究課題/領域番号 |
17K12037
|
研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
三浦 宏子 国立保健医療科学院, その他部局等, 部長 (10183625)
|
研究分担者 |
野村 真利香 国立保健医療科学院, その他部局等, 客員研究員 (30453575)
原 修一 九州保健福祉大学, 保健科学部, 教授 (40435194)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 口腔機能 / タブレット端末 / ICT |
研究実績の概要 |
【目的】タブレット端末を用いた口腔機能評価アプリケーションを開発し,その妥当性と信頼性を検証した.アプリケーション開発にあたっては,これまでの我々の研究から得られた知見をもとに,オーラルディアドコキネシス(ODK)に着目し,口腔機能評価アプリケーションを開発した. 【方法】開発にあたっては,後期高齢者歯科健診での応用を念頭に,集団を対象とした測定場面を想定し,iPad用のプログラムとした.信頼性評価については,同一ODK音声の繰り返し測定による精度を用いて検証した.妥当性については,高齢者27名を対象とし,ICボイスレコーダーで収音し音声分析ソフトで解析したIC法と比較することによって行った.また,測定の際には,iPadの内蔵マイクを用いる方法と,外付けのマイクを用いる方法の両者について検証した. 【結果ならびに考察】10回繰り返し測定による精度は±1回の範囲内(標準偏差±0.00-0.52)であり,十分な信頼性を有していた.また,IC法の比較による妥当性の検証については,外付けマイクを使用した場合は,/pa/,/ta/,/ka/のいずれの音節発声時においても,相関係数が0.85以上と極めて高い相関性を示していた.また,内蔵マイクのみの場合でも,概ね0.8程度の相関係数を示していた.これらの結果より,本研究で開発したODK評価に基づく口腔機能評価アプリケーションは簡便性に優れ,集団健診などの高齢者歯科保健活動において,十分な信頼性と妥当性を有することが示唆された.また,これまでの我々の研究知見をもとに,口腔機能低下者を簡便に検出することができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
懸案事項であった口腔機能アプリケーションを開発・公開することができた.また,評価アプリケーションの信頼性・妥当性を検証した論文を発表することができた.
|
今後の研究の推進方策 |
公開した口腔機能評価アプリケーションの精度をさらに高めるためのバージョンアップを行うととともに,アプリケーションを用いた地域歯科保健研究をさらに推進し,高齢者の口腔機能と関連する心身の活動状況との相互関係について,共分散構造分析等の手法を用いて分析を行う.
|
次年度使用額が生じた理由 |
アプリケーション開発費用として見込んでいた当初金額よりも安価に作成できたことと,予定していた研究打ち合わせについて,学会出張時に行うなどの工夫をしたため,繰り越し金を得ることができた.この繰り越し金については,2019年度に予定している分析のための統計パッケージソフトウェアとコンピュータの購入に活用する.
|
備考 |
研究知見の広報周知と開発したアプリケーションの無償提供を行うためのホームページを開設した.
|