研究課題/領域番号 |
17K12038
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
下地 伸司 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (30431373)
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研究分担者 |
藤澤 俊明 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (30190028)
後藤 まりえ 北海道大学, 大学病院, 助教 (40374540)
竹生 寛恵 北海道大学, 大学病院, 助教 (40609103)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自律神経活動 / 交感神経活動 / ストレス / 印象採得 / 歯科恐怖症 |
研究実績の概要 |
研究者らは、これまでに歯科治療時の全身状態の変化をリアルタイムかつ鋭敏に測定するための自律神経活動モニターシステムを開発し、その有効性について検討を行ってきた。これまでには、健全な若年成人ボランティアに用いてポケット検査、スケーリングおよび局所麻酔時などで実際の歯科治療時よりもその開始前などに強いストレスを受ける可能性を示唆してきた。 本年度は、最初に健全な若年成人ボランティア11名(北海道大学歯科診療センター所属歯科医師、男性9名、女性2名)を被験者としてアルジネート印象材を用いた印象採得時の不安感、血圧、心拍数および自律神経活動、特に交感神経活動の変化を印象採得前座位時、仰臥位時、印象採得時、印象採得後仰臥位時の各段階について本モニターシステムを用いて検討を行った。 その結果、歯科治療に恐怖心のない被験者の多くは、印象採得時に交換神経活動の亢進はみられなかった。一方、恐怖心の強い被験者では、測定期間を通して交感神経活動の亢進が持続した。不安感、血圧および心拍数はいずれの被験者でも測定期間を通じて大きな変化は認められなかった。 以上より、健全な若年成人においてアルジネート印象材を用いた印象採得時のストレスは、恐怖心のない者にとっては小さいが、恐怖心を有する者にとっては大きいものと考えられた。また、これらの全身状態の変化について本モニターシステムを用いることで検出できることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は、これまでに検討していない歯科治療が全身状態に及ぼす影響を評価することで、その点についてはボランティアを被験者として評価することができた。 さらに今後、実際の歯科患者を対象として歯科治療時の精神的ストレスを軽減するための介入研究を行うための研究計画を準備し、当病院自主臨床研究審査委員会の承認を得ることができたため、目標は概ね達成できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
H29年度は、健全な若年成人ボランティアを被験者として、印象採得が歯科治療に対して恐怖心の強い者にとっては、大きなストレスになる可能性を明らかにすることができた。 H30年度以降は、歯科治療時の精神的ストレスを軽減する方法について検討を行っていく。具体的には、音楽鎮静、アロマセラピーおよびハグ(抱擁)効果などの有効性について実際の歯科患者を対象として検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、予備実験の段階だったため、当初の計画では購入予定だった皮膚電位計2台(30万円)およびそれを使用するためのノートPC2台(26万円)を用いずに研究を行うことができたが、次年度からは通常用いているモニターシステムの比較対照としてそれらの測定器具を使用する予定である。
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