研究課題/領域番号 |
17K12043
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
船山 さおり 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30422611)
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研究分担者 |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
山崎 学 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10547516)
伊藤 加代子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80401735)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自発性異常味覚 / 苦味 / ストレス / 薬剤 / マグネシウム |
研究実績の概要 |
味覚障害のうち「自発性異常味覚」は,定量的客観的な評価が極めて困難であり,明確な診断基準が存在しない.本研究は,上記の診断基準作成を目指して立案した.自発性異常味覚は,安静時に生じる味覚である.最も多い主訴は苦味である.したがって,この研究の目的は,苦味を有する自発性異常味覚の原因を調査することである.その診断指標となりうる項目として,マグネシウム,CHQ30,クロモグラニンA,苦味受容体(T2Rファミリー)の発現量を検証する.対象は,新潟大学医歯学総合病院「味覚外来」を味覚の治療および経過観察のため受診した患者とする.また,上記のうち同意が得られた者のみ苦味受容体遺伝子発現量の検査対象者とする.健常者と外来患者のデータ収集を行い,得られた各々の結果について,2群間の比較検討を行う. 各被験者に,病歴,服用薬剤,心理検査等の問診,唾液中および血清中のマグネシウムの測定,味覚検査を行った.各平均値をみると,現在までに分析結果が得られた項目では,GHQ30およびSDS合計点は,対照群よりも患者群で有意に高かった.患者群は健常群と比較して有意にアレルギー疾患を有していた.多くの患者は,味覚障害の副作用を伴う投薬を受けていた.したがって,以上の項目は、苦味の自発性異常味覚に影響を及ぼす要因となり得ることが示唆された.最も注目したい唾液中のマグネシウムの値であるが,今回は採取人数を増やし,さらに多くの項目を分析対象としており,分析や資金繰りの都合上,可能な限りデータ数を増やして全て一緒に分析する予定であるため,来年度に行うこととしており,鋭意収集中である.データ分析結果が全て揃ったところで再度内容を検証する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
資金が限られており,唾液分析に当初予定よりも多くの資金が必要となっているため,分析は来年度の採取試料と一緒に依頼することとし,本年度は健常者および患者データの採取のみ行った.来年度N数が確保できたところで,まとめて分析を行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
来年度予定している分析結果次第ではあるが,今後は,口腔内の苦味物質の探索をさらに進めたい.また,研究を進めていく中で,対象患者の年齢層や他の要素が明らかになってきたため,そこにマッチングさせるようにコントロールデータの収集方法を工夫したいと考え,見直しているところである.
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次年度使用額が生じた理由 |
まず,被験者となる対象が少なく,データ収集が思うようにはかどっていないことが挙げられる.また,唾液分析に当初予定していたよりも多くの資金が必要であるため,全て一括で行う必要があるため,データを保管し,次年度に繰り越して,次年度に収集するデータと合わせて分析を行うこととした.
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