研究課題/領域番号 |
17K12061
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
遠藤 眞美 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (70419761)
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研究分担者 |
岡田 裕之 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70256890)
野本 たかと 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (80246925)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 死生学 / 終末期歯科医療 / 口腔ケア / 死生観 / 歯ブラシ |
研究実績の概要 |
本研究は,歯科医療者が考えている生や死に対する思い,また,死を迎える患者の食や口腔機能の支援などを含めた終末期患者との関わりに対する意識を把握し,実際に適切に対応できる歯科医療者を育成するための教育内容について検討することを目的のひとつとしている。そこで,歯学部4年生の障害者や高齢者歯科といった講義が開始する前の4月と各講義が終了した1月の臨床実習前に生や死に関する自身の経験,知識,意識,態度などについて独自に作成した無記名自記式の質問票調査を実施,比較検討した。 「将来の仕事は死に関わる」が講義前80%,講義後91%と有意に増加を認めた(p<0.05)。終末期医療を行いたい希望は講義前55%,講義後60%とやや増加していた。また,胃瘻造設の選択を相談された場合,「関わりたくない」は講義前9%が講義後2%と減少を認めた。講義後,学生は歯科医療者が終末期患者や家族と関わる必要性を感じていると推察された。しかし,死生観についてはあまり大きな変化はなかった。 本研究において様々な学年において調査しているが,どの年代や学年においても学生の死生観は身近な人との死別経験によって異なることが明らかとなった。しかし,講義において積極的に症例提示などを個なうことで自身のこととして死をとらえ,実際に終末期患者と関わりたいと考えることについながっていることがわかった。今後は,終末期患者に関わりたいと思う歯科医療職として,プロフェッショナルリズムを理解する機会や生や死を意識できる臨床実習の導入をはかることが終末期患者の口腔ケアおよび歯科的関わりの一歩になるとと示唆された。そして,そのような人材を育成しながら,適切な口腔ケアアセスメントや効果的で効率的,そして心地よいケアに使用する道具などの環境整備の重要性が推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は,終末期患者に対して心地よい口腔ケアを通してその方らしい人生を閉じることに寄与できるように,適切な口腔ケアアセスメントシートの開発とふさわしいプロフェッショナルイズムを持ち合わせる歯科医療者の育成のための教育内容の構築が目的である。 口腔アセスメントシートには,自分の困っていることを訴えられない方であっても口腔内状態を正確に反映させるため口腔粘膜細胞の評価を応用し,臨床研究でその有用性を立証する予定であった。しかし,新型コロナウイルス感染症蔓延のために予定していた施設での協力を頂くことができなくなり,実際の臨床応用が難しくなり本内容の遂行は中断となってしまった。そこで,口腔ケアアセスメント開発から,終末期患者が口腔ケアを受ける際にアプランを作成する際に必要な道具と剤について基礎研究を行い,終末期患者が心地よく口腔ケアを受けらるための環境整備としての市販歯ブラシの機能評価を行い,選択プログラム開発の研究を遂行した。 また,昨年度まで継続していた歯科医療者を目指す学生の意識調査等についても同様に,対面講義が難しくなったことなどから調査が実施できなかったために遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
現在,我が国は新型コロナウイルス感染症蔓延をしている。そのような環境から,人の人生の終え方,終わり方が大きく変わってきている。また,口腔ケアは一時期,新型コロナウイルス感染症の感染リスクが高い行為として控えられてきた一方で,最近では口腔ケアこそが感染症予防に重要であると言われるようになり,再注目を浴びている。終末期を過ごす方が苦痛なく人生を閉じるには,新たな感染症などの感染を防ぎながら口腔機能を通して健康支援のできる効果的で効率的で心地よい口腔ケアが求められる。一方で,新型コロナウイルス感染症蔓延によって当初予定していた高齢者入所施設での臨床研究や歯科医療者を目指す学生および医療職に対する対面での意識調査は難しい可能性が高く,次年度は過去の調査結果を詳細に検討すると共に新型コロナウイルス感染症蔓延後の医療職の倫理観等がどのように変化してきたかなども検討し,ケアされる側もする側も安全にそして最期まで自分らしく生活できるようなアセスメントおよびケア方法が立案できるように歯ブラシ等の機能評価なども併行して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,新型コロナウイルス感染症蔓延のために本研究の遂行が著しく困難となった。そのため,高齢者施設での調査で必要になる予定であった調査用のサイトブラシやスライドガラスなどの消耗品,診査用紙,データ解析用ソフトや保存機器,学生を中心とした医療職の質問票調査の用紙代や印刷経費が不要になったことで費用の使用予定額と大幅な差異が生じた。次年度は,口腔ケア用具を効果的に選択するための用具の基礎的評価研究および過去に収集できた質問票調査結果の詳細な検討を行うために,実験機材購入や大規模データの解析を可能とするための解析ソフト購入などを考えている。
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