研究課題/領域番号 |
17K12062
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
岡本 亜祐子 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (20779920)
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研究分担者 |
苅部 洋行 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (50234000)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 嘔吐反射 / 歯科不安 |
研究実績の概要 |
嘔吐反射を軽減する方法とその効果を検証するためには、個別の患者の嘔吐反射を的確かつ客観的に評価することが重要である。平成29年度ではまず嘔吐反射発現の評価指標の信頼性について検討をした。本研究の趣旨を十分に説明し同意を得られた健康な成人21名(男性11名、女性10名)を対象とし、規格化された排唾管を被験者の上顎中切歯部から咽頭部に向け、口蓋に沿わせて徐々に挿入した。被験者が嘔吐感を感じた時点での排唾管の挿入距離を測定し、嘔吐反射評価指標とした。モニタリングとして心拍数(HR)と皮膚電気反応(GSR)の計測を行い、嘔吐反射誘発時の変化を評価した。さらに嘔吐反射発現の程度を定量化するためにVisual Analog Scale(VAS)を用いて嘔吐反射を感じた時の不快感を定量化した。 被験者21名に対して1名の測定者が同一条件下で2回の測定を行い測定者内信頼性を級内相関係数(ICC)にて評価し、その結果1回目と2回目のICCは測定者内において高い信頼性が得られた。また被験者21名に対して測定者2名が同一条件下で測定を行い、ICCにて評価し、測定者間においても高い信頼性が得られた。さらに測定値間の相関係数においても測定者間で有意な正の相関がみられたものの、嘔吐反射評価指標とVAS値には有意な相関は認められなかった。 一方、測定時のモニタリングではHR、GSRとも嘔吐反射の評価後に有意に増加した。 以上よりこの計測方法は嘔吐反射を評価する上で信頼性および再現性の高い方法であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の実験計画では平成29年度は嘔吐反射の計測方法を確立し、嘔吐反射の緩和に最も有効な介入方法を検証する予定であったが、介入のひとつに嗅覚を加えることとし、その条件等を予備実験で検討していたため、本来の計画からやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は介入のひとつに嗅覚を加え、確立した実験方法で被験者を募り計測を行っていく。得られた結果はコントロール、素材による介入、プラセボによる介入、ポジティブコントロールの4群で比較検討し、嘔吐反射への介入効果を評価する。 研究結果は国内と海外の学会で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に物品費として計上していたデータ解析システムは、既存のものを使用したため当該年度での支出がなかった。また、平成29年度では実験で採用する介入の種類の検討をしたので、平成30年度では新たな機器を購入しその介入効果を検討する予定である。さらに実験にあたり協力者への謝金、国内および海外での学会発表に使用する予定である。
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