研究課題/領域番号 |
17K12068
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
吉川 美弘 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (70434793)
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研究分担者 |
池尾 隆 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (40159603)
岡崎 俊朗 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40233308)
吉澤 達也 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (40313530)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 骨 / 破骨細胞 |
研究実績の概要 |
本研究は糖代謝と骨代謝の相互作用にどのようにスフィンゴミエリン合成酵素(SMS)が関与しているかを明らかにし、スフィンゴミエリンをターゲットにした糖尿病患者の歯周病治療応用へと展開するための研究基盤を確立することが目的である。 本年度は破骨細胞の機能発現に細胞膜のSMSがどのように影響を及ぼしているかに着目し実験を行った。昨年度までの実験で細胞膜に存在するスフィンゴミエリンを合成するSMS2が破骨細胞分化に影響を及ぼすことを確認していたので、それらの結果を踏まえて本年度はin vitro実験で破骨細胞の機能発現に細胞膜がどのように関わっているかに着目し実験を行った。実験方法としてリン酸カルシウムプレートにリン酸基が修飾されたメチルβシクロデキストリン(bCDP)をコートした。そのプレート上でRAW264細胞を培養し、破骨細胞の機能発現に及ぼす影響について検討した。bCDPがコートしたプレート上では破骨細胞による吸収窩が抑制された。さらに破骨細胞の生存にも影響を及ぼすことが明らかになった。これらの結果から細胞膜からコレステロールを除去することにより、破骨細胞の機能発現をコントロールできる可能性が示唆された。さらに、今後、SMSが細胞膜を介して、破骨細胞の機能発現を調節するかどうかを明らかにし、骨におけるスフィンゴミエリンの役割を解明することによって、糖尿病の原因究明の一助となり、さらに歯周病と糖尿病の関連の解明につながる可能性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験計画ではスフィンゴミエリン合成酵素が骨にどのように影響を及ぼすか明らかにすることであったが、今年度、得られた実験結果から追加の実験が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
リン酸基が修飾されたメチルβシクロデキストリン(bCDP)をコートしたリン酸カルシウムプレートを用いることによって、破骨細胞の機能発現に影響を及ぼすことが明らかになったため、今後、bCDPがスフィンゴミエリン合成酵素の作用に及ぼす影響について検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、仮説を立ていた結果と一部異なるデータが得られた。骨芽細胞においてスフィンゴミエリン合成酵素が細胞膜を調節していることを証明したが、さらに実験を進めていくとコレステロールの重要性が判明した。その部分に関しては実験内容を変更したため、実験の遂行が遅延することになった。当初の計画で得られた結果までを論文に投稿し、新たに得られた結果に関しては継続して実験を行い、新たな仮説を立てて研究を進めている。
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