研究課題/領域番号 |
17K12069
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
梅本 丈二 福岡大学, 医学部, 准教授 (30320287)
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研究分担者 |
藤岡 伸助 福岡大学, 医学部, 講師 (20735584)
坪井 義夫 福岡大学, 医学部, 教授 (90291822)
古谷 博和 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (60253415)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 筋強直性ジストロフィー / エネルギー消費量 / 筋肉量 / 嚥下障害 / 栄養障害 |
研究実績の概要 |
我々は以前、筋強直性ジストロフィー患者の重症度は、嚥下障害とは相関関係がなく、血清Alb値や体格指数(BMI)と相関関係があることを報告した。栄養障害の一因として、嚥下障害の他に、疾患や病期によって変化する消費エネルギー量と実際の摂取エネルギー量が乖離している可能性が考えられた。 そこで今回、二重標識水法を用いて、筋強直性ジストロフィー患者8例のエネルギー消費量を測定し、嚥下障害、筋肉量と体脂肪量との関係を分析した。筋強直性ジストロフィー患者8例の平均値は、それぞれエネルギー消費量が970.1±160.9kcal/day、嚥下障害の指標としての舌圧値が13.7±5.1kPa、筋肉量の指標としての除脂肪体重が27.6±5.9kg、体脂肪量が48.8±9.6㎏であった。 エネルギー消費量は、筋肉量の指標としての除脂肪体重と有意な高い正の相関関係が認められた(R=0.932、p=0.0007)。したがって、筋肉量の減少に伴ってエネルギー消費量も減少することが示唆されたが、エネルギー消費量に対するエネルギー提供量にはばらつきがあった。 しかし、エネルギー消費量や筋肉量の指標としての除脂肪体重は、嚥下障害の指標としての舌圧値と負の相関関係が認められた(R=-0.731、p=0.06;R=-0.876、p=0.01)。したがって、エネルギー消費量や筋肉量が減少しても、むしろ嚥下機能は維持されている可能性が示唆された。 筋強直性ジストロフィーは、筋肉量の減少に伴って、嚥下障害が進行し、十分な栄養が摂取できなくなると考えられたが、8例の分析では予想と異なる結果が得られている。さらに症例を重ね、栄養指標の分析を加えて検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
複数の神経筋疾患について検討する予定であったが、現在のところ統計処理が可能となる症例数が確保できているのは筋強直性ジストロフィーのみとなっている。複数回の採血を伴うなど、被験者の負担が大きいため、被験者を集めにくいことが一因と考えられる。また、学会の中止や延期によって途中経過を発表する機会が流れている。
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今後の研究の推進方策 |
さらに数例の被験者のデータを追加し、栄養指標の分析を加えて、筋強直性ジストロフィーの嚥下障害が栄養障害に及ぼす影響について考察したい。その結果は、学会発表や論文発表を通して公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
測定および研究結果の投稿を、次年度に計画しているため。
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