研究課題/領域番号 |
17K12070
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
牧野 路子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (50550729)
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研究分担者 |
内藤 徹 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (10244782)
湯浅 賢治 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (40136510)
香川 豊宏 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (00258592)
稲冨 大介 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 診療放射線技師 (00454934)
野口 哲司 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 医員 (90785643) [辞退]
梅崎 陽二朗 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (20778336)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 口腔感覚 / 認知機能 |
研究実績の概要 |
2025年に65歳以上の5人に1人が認知症に罹患すると厚生労働省は推計している。認知症は要介護状態に陥る主な原因の一つであるため、社会的にも認知症の予防が重要である。近年、認知機能低下は咀嚼機能の低下に関係すると報告されている。認知症の前段階である軽度認知障害の要因として、学歴や生活満足度、生活機能が挙げられている。歯の喪失による咀嚼機能の低下も認知機能障害のリスクファクターとして報告されている。認知症で最も多いアルツハイマー型認知症は、前頭前野機能が低下するという初期症状がある。前頭前野は知・情・意を統合する部位と考えられている。現在歯数は加齢とともに減少し、動物実験においても、咀嚼の減少が空間認知機能の減衰や、海馬の神経細胞を減少させると報告がある。咀嚼に代わる刺激が認知機能を賦活化することができれば、認知機能低下と高齢者の認知症の予防に重要な役目をすると考えられる。 今年度は、すでにMRIを撮影した高齢者を対象に、現在歯数とMRI上で観察される脳の萎縮度についての関連を調査した。また、それぞれの認知機能検査として、Mini-Mental State Examination(MMSE)を使用した。実際の対象は、男性4名、女性11名の15名であり、平均年齢は75.9歳であった。現在歯数の平均は15.0本であり、MMSEスコアの中央値は26であった。現在歯数と全脳の萎縮度について著しい関連を認めた。 これより、現在歯数と認知機能の低下に大きな関連があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
有歯顎高齢者に対して口腔刺激による脳賦活のマッピングとその定量解析を行う予定であった。口腔有歯顎高齢者に対してfMRI法を用いて口腔粘膜刺激によって賦活される高次脳の局在を同定し、得られたデータを検討する。口腔粘膜に対する刺激は軟性のプレートで作製したマウスピースの内面に光重合レジン(CR)を築盛し、該当部を刺激時に押す。口腔粘膜刺激はブロック型課題として行う。コントロールとしてマウスピース非装着状態を撮影し、その後マウスピースを装着し、各CR部分を1箇所ずつ刺激し、それをブロック型課題とする。何も行わない80秒間の安静と刺激時32秒間を交互に3回繰り返し、刺激時と安化を機能画像として取り出す。口腔粘膜の刺激によって賦活される脳部位を同定する。以上を計画として予定していたが、マウスピース装着時と非装着時のfMRI上の像のずれが生じてしまうため、粘膜の刺激方法を再検討する必要が発生した。現在、粘膜に対する刺激方法を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画から遅れが生じているため、研究計画の変更が必要である。 口腔内でブロックを把持する課題を選択する予定である。 また、対象者の年齢を高齢者から若年者の被験者への変更も検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の遅れにより、fMRI内で使用する物品を購入していないため。粘膜刺激方法の決定し次第、fMRI内での検査を行うために、認知機能検査の課題投影用の液晶プロジェクター、プロジェクタースクリーン、ボタン型レスポンスパッド一式を購入予定である。
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