1.分析対象は28名、平均年齢77.8±6.8歳、睡眠障害の有無を示すPSQIスコアは9.2±2.9点であった。2.アクチグラフを用いた睡眠の比較では、睡眠効率で介入日の方が有意に高く(P<0.05)、睡眠潜時で介入日の方が有意に短くなっていた(P<0.05)。アクチグラフのその他の項目は差がなかった。3.OSA-MA版による主観的睡眠感の比較では、起床時眠気(P<0.01)、入眠と睡眠維持(P<0.001)、夢み(P<0.01)、疲労回復(P<0.01)の4項目で介入日の方が高かった。4.自律神経活動では、介入後にHRTが低下し(P<0.01)、SDNN、RMSSD、HF、LF/HFでは差がなかった。5.自作のVASによる主観的快適感、およびリラクセーションを示すREスケールすべての項目において、介入後の方が高かった(P<0.001)。6.年齢を調整した自律神経活動と主観的快適感の関連では、VASの「眠い」とRMSSD(r=0.436、p<0.05)およびHF(r=0.509、p<0.01)で有意な正の相関、REスケール「体に力が入っていた-体の力がぬけていた」とHF(r=0.412、p<0.05)で有意な正の相関、REスケール「不安であった-安心していた」とHRT(r=-0.404、p<0.05)で有意な負の相関があった。以上のことから、睡眠に変調を来たした高齢女性に夕方に実施するハンドマッサージ浴は、睡眠の効率を良くし、寝つきを良くし、主観的睡眠感と快適感を向上させる効果がある可能性が示唆された。令和元年度に本研究課題の論文をまとめ、英文誌に投稿した。令和2年度に採択が決定し、科研費によりオープンアクセスとした。
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