研究課題/領域番号 |
17K12077
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
八塚 美樹 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (00293291)
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研究分担者 |
門林 道子 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (70424299)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 看護の本質 / 相互作用 |
研究実績の概要 |
研究代表者は、成長と自己実現を助ける看護は、看護を提供される人の物語を受容共感的に聞くことによって信頼関係が構築され、両者の人間的成長につながることを明らかにしてきた。 これらの知見から本研究の目的は、成長と自己実現を助ける看護につながるケアの本質を、看護を提供する人と提供される人との相互作用の観点から明らかにすることである。 本年度は、ケアの本質に関して論述している看護理論、看護学領域のケア・ケアリングに関する文献検討の結果から成長と自己実現を助ける看護につながるケアの本質は、健康と病いの語りによる看護の提供から、患者の人生の語りに目を向けた看護の提供が必要であること、その際には、看護を提供する者と提供される者の相互作用、すなわちあいだの質を高めることであると考察した。 あいだの質を高めるためには、患者の言葉に真剣に耳を傾ける態度、患者の文化を尊重する態度、無知の姿勢、患者とともに生き、歩む態度、患者に向き合うのみではなく提供者としての自分に向き合う態度、感謝し、感動する態度、互いに助け合う態度の構成要素を導き出した。これらの構成要素に基づき、成長と自己実現を助ける看護の本質を明らかにするために、インタビューガイドを作成した。 また、研究代表者施設において倫理審査の承認を得た。研究分担者を通じて、ハンセン病療養所に長年勤務した看護師1 名への研究の説明と同意を得て、ハンセン病療養所に長年勤務した看護師1名へのインタビューの実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
メイヤロフ(Mayeroff 1971;1987)の著書「ケアの本質」、ワトソンのケアリング論、ベナーの「現象学的人間論と看護」などケアの本質に関する書籍、看護領域におけるケア・ケアリングに関する文献検討をおこない、成長と自己実現を助ける看護を実践するための構成要素を明らかにできたことである。 共同研究者と4回にわたり打ち合わせ会議をおこない、研究参加者の選択基準、設定根拠、除外基準、 研究参加者の選定方法、実施、分析、インフォームドコンセント手続き、同意の撤回又は拒否が合った場合、個人情報の保護について、インタビューの日程など詳細な打ち合わせをおこなったこと、研究方法論であるライフストーリー法について、ライフヒストリーやオーラルヒストリーとの違いについて検討したことである。 さらに研究分担者は、2010年からハンセン病療養所に長年勤務した看護師と取り巻く人々と交流が深く、闘病記の観点からハンセン病療養所に長年勤務した看護師1 名へのインタビューの際に、看護師の同僚へのインタビューも行っており、友好的で親密な交流が展開されていたため、当初の計画以上に進展し、インタビューが実現した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、既にハンセン病療養所に長年勤務した看護師1名へのライフストーリーインタビューを実施したため、成長と自己実現を助ける看護の本質の構成要素に基づいて、質的記述的分析をおこなう予定である。また、ハンセン病療養所に長年勤務した看護師1名へのライフストーリーインタビューの祭に、同僚看護師2名のインタビューの同意を得ているため、同僚看護師2名へのインタビューを実施、分析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ハンセン病療養史、ライフヒストリー研究方法論、ケアの本質に関連する書籍文献の購入、データ収集が予定通りすすまなかったため、次年度計画に組み込んだ。
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