研究課題/領域番号 |
17K12083
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
習田 明裕 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (60315760)
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研究分担者 |
大庭 貴子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (90803099)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 臓器移植 / 看護 / 倫理的実践 / 倫理的問題 |
研究実績の概要 |
臓器移植医療に関わる看護職は、多様で解決困難な倫理的問題に対する道徳的推論と意思決定、さらにそれに基づく倫理的実践能力が求められる。こうした実践能力の質を担保するためには、移植医療に関わる看護職個々人の倫理的判断能力の向上が必要であり、実践において抱いた迷いや悩み、苦悩に対してどうすべきか、その方向性を示す「倫理的実践モデル」が必要である。本研究はこうした臓器移植看護の質向上に資する研究として、臓器移植医療を担う看護職の倫理的問題を明らかにするとともに、ドナー、レシピエント及びその家族への安全かつ人権を尊重した看護を、自らの責務として提供する基盤となり得る倫理的実践モデルの構築を目的としている。 本年度は、研究の方向性の確認とインタビュー内容の検討を行うことを目的に、まず臓器移植医療における看護職の役割・機能及び倫理的問題に関する文献検討を行い、臓器移植看護の倫理的問題に関する内容を抽出し、特異的な項目や共通項目の整理を行った。その結果、臓器を提供するドナーと提供を受けるレシピエントという立場が異なり、さらに利益・不利益が全く拮抗しているところから生じる様々な倫理的問題を内在していることが本医療の特異性として改めて確認され、そうした中、看護職としての自身の立ち位置に苦悩・葛藤を抱えている実態が改めて示された。さらにレシピエント移植コーディネーターや臨床看護職のプレインタビューの結果から、生体移植においてはドナーやレシピエント、その家族の意思決定支援のプロセスに多くの倫理的葛藤を抱えていた。一方脳死移植においては、人の死をどう考えるか、自身の価値観の間で悩む一方、目の前でベルトコンベアーのように繰り広げられる脳死移植医療に、看護職としてどう向かい合うべきか、自身の役割の間で葛藤を抱いていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献検討においては、概ね予定通り進んでいるが、今年度予定していたレシピエント移植コーディネーター及び臨床看護師に対する面接調査が、対象者の抽出に想定外の時間を要してしまい、ともにプレテスト止まりとなってしまったため、次年度早々に取り組む必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していたシピエント移植コーディネーター、臨床看護師に対する面接調査を早急に行い、量的検証に先駆け質問紙調査項目の洗い出しを行う必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初面接調査のための予算として計上していた旅費については、今後必要となるAO・事務用品の購入に充てた。
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