研究課題/領域番号 |
17K12084
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研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
水戸 優子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (70260776)
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研究分担者 |
小林 由実 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (20719421)
西田 直子 京都学園大学, 健康医療学部, 教授 (80153881)
若村 智子 京都大学, 医学研究科, 教授 (40240452)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 移動技術 / 腰痛予防 / 看護基礎教育 / 移動動作 / 指針 / 移動用具 / 移動技術教育 / 教育プログラム |
研究実績の概要 |
本研究は新たな腰痛予防指針を踏まえた看護基礎教育における移動技術教育プログラムを開発し、普及活動を行うことを目的とする。2年目である平成30年度は1)看護基礎教育における移動技術教育の全国実態調査の実施、2)本研究者らが開発した「移動用具を使用した移動技術テキスト、技術チェックリスト、WEB動画の学習システム」の効果について、2)学生評価、3)看護師評価の研究を行った。 1)実態調査では、大学と専門学校の630校に自作の質問紙を郵送し、284件(回収率45.1%)の回答が得られた。移動技術教育は、基礎看護学で主に1年次前期、講義・演習にて平均10.9時間で行われていたが、その後のカリキュラム進行のなかでは開講しておらず積み重ね教育がなされていなかった。また、教員の半数以上が「腰痛予防指針」が出されたことや「ノーリフトの原則」を知らないと回答し、平成25年厚生労働省からの腰痛予防指針が教育の現場で浸透していない現状が明らかになった。早急に腰痛予防を踏まえた移動技術教育プログラムを開発し普及活動を行う必要性を確認した。 2)本研究者らで開発した移動技術テキスト、技術チェックリスト、WEB動画を用いてA大学の学生24名の協力を得て、その有効性について評価研究を行った。結果、大半の学生が移動用具を使用した移動技術が腰痛予防になり有効と述べたが、用具の使いこなしに訓練が必要と述べていた。このことから看護基礎教育でも移動用具活用を含めた技術教育方法、時間の確保が必要と考えられた。 3)本研究者らが企画した研修会参加者である看護師・介護福祉士の計18名に協力を得て同様の評価研究を行った。結果、ほとんどの看護師が移動用具に慣れておらず、しかし使用してみると有効であることを実感していた。 次年度はさらに移動技術教育プログラムを洗練させ、有識者から評価を得て完成させ、普及活動を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度実施予定であった実態調査の実施が遅れ、平成30年度6月に実施しその後分析、結果をまとめることができた。平成30年度はスタンディングマシンと床走行式リフトを用いた移動動作の実証研究の実施を計画した。このうち、スタンディングマシンに関しては、分担者小林由実を中心に研究を行い、現在データ分析中である。しかし、床走行式リフトに関しては、病院環境および在宅でも使用可能な機種を選定するのに時間を要したため研究の開始が遅れた。現在、機種選定が終わって入手し、実証研究を開始する準備を行っている。 また、有識者会議も平成30年度に行う予定であったが、技術教育プログラムの作成の一部が遅れているため、令和元年に持ち越しになった。
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今後の研究の推進方策 |
遅れている移動機器の実証研究を8月までに完了し、そこで得られた知見を、腰痛予防を踏まえた移動技術教育プログラムに盛り込んでいく。このプログラムの妥当性を確認するための有識者会議を行う予定である。令和元年9月に日本看護技術学会が開催されるのでこの時期に合わせて有識者会議を開催する。なお、有識者は8~10名程度を考えており、もし有識者会議参加者が不足した場合は、インタビュ―調査に切り替えられるよう準備を進める。 また、開発した腰痛予防を踏まえた移動技術教育プログラムをWEB公開し、WEB調査により意見を募るとともに、普及活動を開始し、各看護基礎機関で導入を検討してくれたところには、積極的に資料や動画の提供を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に予定していた国際学会での発表および移動支援機器の実証研究を年度内に行えなかったため、次年度の使用計画に変更する。研究最終年である令和元年は、有識者会議およびインタビューの実施のため、高額の旅費が必要となり、また、実証研究実施のために被験者への謝礼、物品購入を行う。また、作成したプログラムの普及を目指し、報告書を作成し(印刷製本費)、WEB公開も行うが、冊子として看護大学、専門学校に送付する予定である(通信費)。
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