研究課題/領域番号 |
17K12086
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
鈴木 聡美 三重県立看護大学, 看護学部, 講師 (80442193)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 認知症看護 |
研究実績の概要 |
本研究は認知症患者への看護実践がどのように成り立っているのかを、人間関係と患者理解という看護実践の根管をなす2つの視点から探求し、認知症患者への看護実践の構造の一端を記述することを目指すものである。 本年度は認知症看護に精通している看護師へのインタビューによるデータ収集をすすめる予定であったが、COVID-19の感染症拡大の影響を受け、計画していた対面のインタビューができなかった。そのため、これまで収集したインタビューデータの再分析を主に行った。この分析からは、外部から客観的に「観察」するのではなく、その人の生活に「入り込み」、「一緒に住む」という仕方で患者のことを理解している看護師の経験が明らかになった。また、このように患者と同じ視線で関わりながら、その人が自身で発信できないことを探し、それを丁寧にひもといていく実践を行っていた。今後は新たな研究協力者へのインタビューを行い、引き続き分析を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19感染症の影響により、インタビューの実施が計画通りできなかったことにより、データの収集が大幅に遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、研究協力者として2名の看護師のリクルートを進めている。この方たちの研究協力が可能であれば、施設との交渉を行い、オンラインもしくは対面でのインタビューによりデータを収集する。これら2名は急性期病院や療養型病院で勤務する看護師だが、今後は在宅看護に携わる看護師のリクルートを試みたい。在宅看護においては、治療に主眼を置いた病院とは異なり、認知症を患う人にとってなじみがあるものや人がある環境での看護実践であり、また、関わる時間や期間も大きく異なることから、病院とは違った看護実践の様相が浮かび上がることが期待されるからである。 収集したデータからは逐語記録を作成し、研究協力者が認知症患者とどのように関係を持っているのか、認知症患者のことをどのように理解していっているのかに注目し、その語られ方を現象学的な質的研究の手法を用いて分析し記述していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はCOVID-19感染症の影響により、学会への参加やデータ収集のための出張が行えず、旅費や逐語録作成に伴う人件費の支出がなかったため、大幅に使用額が少なくなった。 次年度、対面での学会やインタビューが可能になった場合には、旅費として支出する予定である。また、複数の研究協力者へのデータ収集を実施する予定であるため、インタビューデータからの逐語録の作成のため、人件費を支出する。物品費としては、分析や論文作成のための書籍や文具等への支出を見込んでいる。
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