本研究は認知症患者への看護実践がどのように成り立っているのかを、人間関係と患者理解という看護実践の根幹をなす2つの視点から探求し、認知症患者への看護実践の構造の一端を記述することを目指すものである。本研究では認知症看護に精通し、認知症患者への看護を実践している認知症看護認定看護師へのインタビューデータを用い、当事者の生きられた経験を明らかにする現象学的な質的研究の手法を手がかりにして、その個別の看護実践を記述していくことを目的としている。COVID-19感染症の影響により分析はまだ途上の段階ではあるが、認知症看護認定看護師の語りからは、認知症患者の生活をその人と同じ視座で体験しながら、認知症により当事者が言語的に発信できないことを丁寧に探し、ひもといているという実践の様相が見えてきた。今後も分析を継続、精選し、複数名のインタビューデータから見えてきた実践の構造を記述することを試みる予定である。
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