研究課題/領域番号 |
17K12088
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研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
石原 逸子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (30221071)
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研究分担者 |
福重 春菜 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (20758726)
大澤 歩 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (70780948)
稲垣 聡 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (70785451)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 看護倫理研修 / 倫理的効力感 / 倫理事例 / アクションリサーチ / 倫理的看護実践 |
研究実績の概要 |
本研究は、急性期病院の看護師の〝倫理的効力感”を向上させる倫理研修(案)を「アクションリサーチ」の手法により実施し、その結果を評価することを目的としている。 平成29年度は、研究計画に基づき以下の調査及び研修を実施した。本学での研究倫理審査後、高度急性期病院から研究実施の許可を得た。さらに、専門看護師(以下CNS)4名から研究協力の同意が得られ研究組織を立ち上げた。看護師長会・主任会で研究者を募り3名(師長、主任、看護師)から研究参加への同意が得られた。 3名の研究参加者に対し、倫理的効力感(9項目)、倫理的悩み(21項目)の程度を調査し、その後、看護倫理研修Ⅰ(10月-12月)を実施した。倫理研修Ⅰでは、老年看護学CNS、急性期看護学CNSより「認知症高齢者と抑制」「終末期ケアとDNRへの対応」について体験事例が提供され、倫理的問題の解決の過程について検討し、検討プロセスの中で看護実践上の倫理的価値観や倫理的判断について研究参加者と共有するとともに、課題解決や成功の疑似体験ができた。 倫理研修Ⅱ(1月―3月)では、3名の研究参加者たちが所属病棟や病院施設で倫理的問題と感じる患者事例について自ら課題解決を試み、その内容を「レストによるモラル行動の4要素モデル」で分析をし、事例についての参加者自身の看護実践を振り返ることができた。また、研究参加者は、CNSからのサポートを得てそれぞれが2事例について倫理カンファレンスを開催し、倫理的看護実践を試みた。その間、大学側研究者は、臨床側研究協力者と共に倫理コンサルテーションを5回実施した。コンサルテーション内容はICレコーダーに録音し、現在、逐語録としてデータを産出している途中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、5月に倫理審査を受け、その後、急性期病院への許可を得る予定であった。 倫理審査申請時にアクションリサーチの対象範囲、CNSの研究協力に関して、より明確にすることを求められ、要確認や修正の審査過程を経たため、約2か月の遅延が生じた。また、高度急性期病院での研究参加者の選定の際、看護師長、主任を対象とすることを当初病院側から求められた為、手続き上、看護師長会、主任会での研究参加者を募る説明が必要となり、これらの会の開催が月に1回開催であったため、約3か月の遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度実施予定であった倫理研修Ⅲについては、本年度5月までに実施をすることを計画している。 平成30年度の研究のスタートは6月以降となるが、当初の計画通り倫理研修Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを実施する予定である。しかし、セルフモニタリングメモは、研究参加者たちの仕事の繁忙さに影響され、倫理事例の課題解決を行いながらセルフモニタリング内容をメモとして残すことが困難であることが判明している。したがって、研究参加者それぞれに対し、倫理コンサルテーションを行い、倫理事例を振り返ることで、その時の気持ちなどを言語化してもらい、当該内容をICレコーダに残し、これらの逐語録をセルフモニタリングデータとする。この点は、当初の研究方法の変更となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内学会で研究成果を発表する予定であったが、3か月の遅延が生じ、学会発表を行わなかった。よって、旅費として計画していた予算が使用で来ていない。
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