研究課題/領域番号 |
17K12089
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
小西 美和子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (60295756)
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研究分担者 |
藤原 史博 関西医科大学, 看護学部, 講師 (00584210)
増野 園惠 兵庫県立大学, 地域ケア開発研究所, 教授 (10316052)
徳原 典子 兵庫県立大学, 看護学部, 助手 (30755830) [辞退]
畠中 易子 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (80614586)
神田 知咲 関西医科大学, 看護学部, 助教 (90613802)
山岡 千鶴 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (00876807)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 熟練看護師 / 在宅療養支援 / 患者の生活を見通す能力 / 獲得過程 |
研究実績の概要 |
令和元年に分析したデータを1報、2報にわけて日本看護科学学会で学会発表を行った。 1報はタイトルを【在宅療養支援を円滑にするための熟練看護師の「患者の生活を見通す」能力に着目して】とし、熟練看護師の患者の生活を見通す能力とは何かを中心に発表した。4つのカテゴリー〈患者の生き方を柱に捉える〉〈家族の結びつきを知る〉〈患者の生活の先を見据える〉〈生活維持に向け他職種の力を結集する〉が抽出された。熟練看護師は入院時から患者家族の思いをくみ取りながら、在宅への移行ができるかを現在だけでなく、過去・未来を含めて生活する能力を査定していた。さらに在宅療養が安定し継続的に必要な他職種を選択し調整していることが明らかとなった。 2報は、タイトルを【在宅療養支援を円滑にするための熟練看護師の「患者の生活を見通す」能力の獲得過程】とし、〈生活に対する価値観を転換・再構築する契機を見出す〉〈未知なる多様な生活を知る必要性を認識する〉〈個々人にとっての生活をつかむための行動を起こす〉〈生活を見通す能力に基づいてこその看護に肯定的な成果を実感する〉であった。熟練看護師は、〈生活に対する価値観を転換・再構築する契機を見出す〉〈未知なる多様な生活を知る必要性を認識する〉〈個々人にとっての生活をつかむための行動を起こす〉の獲得過程を順に経験しながら能力を獲得していた。〈生活を見通した看護実践に確かな成果を実感する〉は、成果への確信を得続けていくことで生活を見通す能力の獲得過程の継続・強化に寄与していたことが明らかとなった。 これらをふまえ本研究で明らかになったことから人材育成を通じて「生活を見通す」能力開発モデルの構築を進めていくことが今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究が進まなかった理由は、3つある。1つはコロナ禍において、研究代表者が研究活動に専念できず共同研究者との連携がもてなかったこと、2つは臨床の看護師を対象とした調査を含め、次の段階の研究計画に進まなかったこと、3つは成果を発表していく論文執筆の準備をすすめていたが、思うように進まなかったことがあげられる。それに伴う研究費の活用が思うように進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
人材育成を通じて「生活を見通す」能力開発モデルの構築を進めていくことが今後の課題である。データ収集によって導かれた「生活を見通す能力」のカテゴリーの確認を、インタビュー協力者に求める等、エキスパートの意見も取り入れながら、生活を見通す能力を明確にしていく。またこれらをどのように育成していくのかの能力開発モデルを示していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は県をまたぐ他府県での調査計画を実施できなかった。患者の生活を見通す能力の獲得過程モデルの開発に着手するため、令和3年度はオンラインによるデータ収集・分析を実施するため、ipadやwifiルーター等の物品をさらに購入し、遠隔での調査が実施できる体制を作ることを計画している。
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