研究課題/領域番号 |
17K12095
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
新井 直子 帝京大学, 医療技術学部, 准教授 (10432303)
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研究分担者 |
米田 雅彦 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (80201086)
作田 裕美 大阪市立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (70363108)
新井 龍 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (20432304)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 褥瘡 / アセスメント / BMP / MMP |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、褥瘡対策への課題である①創部アセスメントが視覚的なものに頼っていること②看護師が創部アセスメントを充分に行えていない可能性があることを解決するために、褥瘡の客観的アセスメントツールの開発に向けた基礎的研究を行うことである。本研究目的の達成には、①褥瘡の創部アセスメントに生体高分子マーカーの活用を目指し、褥瘡の浸出液中に存在する創傷治癒関連タンパク質量の分析と褥瘡の質的状態の関連性を明らかにすることに加え、②臨床看護師が褥瘡アセスメントを行う際に困難と感じる項目を明確にし、補助すべき内容を明確にすることが必要となる。平成29年度は、①に対して、これまで収集したサンプル(研究対象者から採取した創傷液)を対象に、骨形成タンパク質(Bone Morphogenetic Protein:BMP)-6の定量を酵素免疫測定法(ELISA)にて試みた。その結果、BMP-6の量は褥瘡の創部の状態を反映する可能性があることを見出した。BMP-6のアンタゴニストおよび細胞外マトリックス分解酵素(Matrix metalloproteinase:MMP)ファミリーとそれらの抑制因子(インヒビター)の定量に向けて、実験条件を設定・調整中である。なお、計画にあった判定量はせずに、定量化を目指すこととした。②に対しては、褥瘡ケアに携わっている可能性のある看護師を対象とした質問紙による全国調査を行う準備として、質問紙の妥当性の検討と内容の精選を行った。その結果、以前作成した質問紙内容と回答方法に関して改変の必要性が明らかとなり、本研究の目的達成に向けより的確な質問紙の作成を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
褥瘡の創傷液を採取する対象者のリクルートおよびデータ収集を行う予定であった研究協力予定施設の褥瘡保有患者数が激減していたことで、新たな研究協力施設および研究協力者を探す必要が出たため。また、質問紙の見直しの際に、内容の精選と回答方法の改変に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、褥瘡創部からのサンプル採取のためのリクルートを研究当初予定していた施設とは異なる施設に依頼し、サンプル採取を進めていく。また、平成29年度から行っているこれまでのサンプルを対象としたタンパク質の定量を、BMP-6のアンタゴニスト、複数のMMP類とそれらのインヒビターをターゲットに条件設定を行い、定量を進め、褥瘡創部の質的な状態と測定量の関連性を検討する。質問紙調査は、全国調査に向け準備~調査の実施を行う。
平成31年度は、定量したそれぞれのタンパク質量と褥瘡創部の状態を判断するためのカットオフポイントを明らかにし、アセスメントツールとしてのタンパク質量を活用することの可能性を検討する。質問紙調査に関しては、結果を分析し、アセスメントツールが補助すべき項目を明確にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象者のリクルートおよびサンプル採取が進んでいないため、サンプル採取および実験にかかる必要経費の使用が少額となった。また、質問紙調査の実施が翌年度に持ち越したため、印刷費・郵送費が使用されなかった。平成30年度に、計画の遂行に合わせてそれぞれ使用していく。
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