研究課題/領域番号 |
17K12096
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
田中 幸子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20286371)
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研究分担者 |
川上 裕子 亀田医療大学, 看護学部, 講師 (20612196)
川原 由佳里 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (70308287)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オーラルヒストリー / 聞き取り / 語り / 倫理 / 匿名性 |
研究実績の概要 |
オーラルヒストリー研究状況を把握する目的で、文献を持ち寄り、先行研究について検討した。現在「オーラルヒストリーの理論と実践」(ヴァレリー、R.ヤウ、2011)を分担してまとめ、本研究の研究手順として利用することとなった。看護については、先行研究がほとんどなかったため、医中誌webで類語として「聞き取り」「聞き書き」「証言」「語り」「インタビュー」といった語を検索に用いることにした。その結果、2002年以降27件、分野別では、看護師関係11件、助産師関係10件、保健師関係4件、養護教諭関係1件となっており、看護師関係では教育・学生に関する研究が多く見られた(8件)。対象地域は14都道府県に及び、植民地での経験を聞きとっているものもあった。扱っている時代は、アジア・太平洋戦争終結(1945年)前後に焦点をあてたものが10件と多かった。研究方法に関しては、インタビューの調査期間や面接方法などの記載事項は、ある程度共通していた。しかし、対象者の選定方法や倫理的配慮についての言及などは文献によってさまざまで、看護史研究においてはまだ、基準的なものはみられなかった。この結果は、第32回日本看護歴史学会学術集会で報告した。 ヴァレリー、R.ヤウは、歴史研究における倫理の重要性に配慮しつつ、オーラルヒストリー研究における情報源の匿名性の課題を指摘している。今後は、オーラルヒストリー研究における倫理的配慮のあり方を看護歴史、及び医療史の学会誌等から分析することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
看護歴史研究において「オーラルヒストリー」という表現が研究方法として確立していないため、オーラルヒストリー研究の定義、範囲、手法の確立に時間がかかっている。社会科学では、実名公表が当たり前になっている点でも、看護との違いがあり、他領域の先行研究を参考に、研究対象者と研究者を保護しつつ、看護歴史の継承を推進する研究手法にしていく必要がある。加えて看護独自のオーラルヒストリー研究を確立する必要があると考え、慎重に、丁寧に活動しているため
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今後の研究の推進方策 |
日本看護歴史学会誌をもとに、過去10年のオーラルヒストリー研究とそれ以外の研究について、倫理的配慮のあり方を分析する。さらに医療史に拡大し、日本医史学会誌を同様に分析する。日本看護歴史学会誌の分析結果は、8月の学術集会で報告できる予定である。昨年の研究成果と合わせて、論文を投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会出張旅費を別経費で処理したこと、及び前述したように研究の進捗状況がやや遅れているため。次年度は、国際学会に出席する予定であり、残金の使用が予定されている。
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