研究課題/領域番号 |
17K12096
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
田中 幸子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20286371)
|
研究分担者 |
川上 裕子 亀田医療大学, 看護学部, 講師 (20612196)
川原 由佳里 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (70308287)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | オーラル・ヒストリー / 倫理的配慮 / 看護 / 文書史料 |
研究実績の概要 |
看護におけるオーラル・ヒストリー研究に関する倫理的配慮の動向を明らかにする目的で、過去10年間(2009年~2018年)の日本看護歴史学会誌の研究論文から、研究方法をオーラル・ヒストリーか否か区分した上で、1)倫理的配慮の項目の有無、2)プライバシーの保護、匿名性の確保の記載、3)実名の記載の有無、4)研究対象者への説明、合意の記載、5)倫理審査承認の有無を調査した。 全研究論文46件のうち、 「聞き取り」「聞き書き」「証言」「語り」「インタビュー」の手法を用いているものは、8件で、残り38件は、文書史料に基づく研究であった。全46件中、「倫理的配慮」の項目を設けているのは、14件、倫理的配慮の項目は設けてはいないが、「方法」、「利用史料」の記載部分、本文中に何らかの倫理的配慮について記載があるものは、14件であった。倫理的配慮の記載のない18件は、文書史料に基づく研究で公開されている史料を利用していた。オーラル・ヒストリー研究8件のうち、倫理的配慮の項目を設けている研究は、6件、項目は設けていないが、研究方法、利用史料紹介、本文中に、倫理的配慮の記載があるものは、2件であった。倫理的配慮をしつつ、実名を公表しているものは4件であった。 実名を記載したいずれの論文でも、実名公表に際して、慎重に研究対象者、もしくは家族の同意を得て研究が実施されていた。個人情報の保護に厳しい目が向けられている今日、オーラル・ヒストリー研究においては、特に適切な説明と対象者の自由意志で協力の諾否を決定すること、そして対象者の明確な意思表示を文書で残しておくことが重要であると考える。さらに研究対象を拡大し、看護のみならず、医学・医療史研究においても調査が必要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行により、学内業務を優先せざるを得なかった。また、シンガポールのナショナルアーカイブスの訪問ができなかったこと、研究会議が十分にできなかったこと、インタビュー調査ができなかったことなどが遅れにつながった。
|
今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長し、インタビュー調査を実施する。同時にインタビューによらないオーラルヒストリー研究の文献調査をもっと掘り下げて分析するなど、他の方法も検討していくことが必要である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査ができなかったこと、研究会議が十分に持てなかったことなどで次年度使用額が生じている。新型コロナ感染症の感染予防に努めながらインタビューを実施すること、遠隔会議を取り入れていく。また、インタビュー以外の方法も検討し、オーラルヒストリー研究を進めていく。
|