研究課題/領域番号 |
17K12097
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
川原 由佳里 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (70308287)
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研究分担者 |
田中 幸子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20286371)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 専門職 / 医行為 / 看護業務法 / 看護登録法 / 歴史研究 / フェミニズム |
研究実績の概要 |
1965年から1980年代までの米国および日本における高度実践看護師や看護関連職種の歴史について国内外の文献検討を行った。米国では、1965年のコロラド大学での小児NPの養成開始より、医師からは「二流の医療」、看護からも「医師の支配のもとに戻るのか」との異論があったが、1970年代にはNPの行うプライマリケアに対して利用者が満足しているとの研究結果が示され、1980年代にはNPに対する批判は根拠がないとの見解が関係団体から示されるようになった。 PAが委任された一部の医行為を行うのに対して、プライマリ分野のNPは委任された一部の診断や処方を、看護と統合したかたちで提供するものと考えられている。日本では、1970年代から雑誌等で米国NPの紹介が行われ、当初、医師からは「患者が承知すまい、偽医者騒ぎになる」、看護からは「日本の開業医は世襲制なのでNPのindependent practiceは難しいがjoint practiceなら可能。であったとしても日本の看護師は自発性に乏しく、活発に発言しないので教育水準を高めるほうが先決」との意見がある。1980年代には看護からは「PAははからずも医行為が医師の独占するものではないことを証明」行政担当者からは「プライマリ分野では医師との競合も少ないであろうから、患者家族にとって満足のいく包括的なケアが提供でき、医療費の削減につながるのであればとりいれてみるとよい」との意見が示されている。1990年以降、看護の高等教育化が進展し、CNS、NP教育がはじまり、高度実践の道が拓かれた。2002年の看護師による静脈注射の実施、2007年のチーム医療の推進に関する一連の動きを経て、医行為の委譲も進んでいるが、看護師の裁量権の範囲、委任された業務の内容には、まだ米国とかなりの違いがあることは否めない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本に関しては雑誌等に掲載された関連記事の収集と分析は終わっている。2002年以降の行政関係資料、新聞などを引き続き収集し分析する。米国および英国の関連文献を収集中である。
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今後の研究の推進方策 |
関係史資料の収集、分析と関係者へのインタビューを実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外渡航調査に必要な日程をまとめてとれなかったため。 渡航調査は2年目に実施する計画である。
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