研究課題/領域番号 |
17K12097
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
川原 由佳里 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (70308287)
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研究分担者 |
田中 幸子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20286371)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 専門職 / 医行為 / 看護業務法 / 看護登録法 / 歴史研究 / フェミニズム / 看護の歴史 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き米国および英国の高度実践看護に関する史料調査を実施した。米国のNurse Practitionerの発展に影響した社会的な背景要因には、医療費の高騰、医療技術の高度化、高齢者や慢性疾患患者の増加、地域医療を担う医師の不足などがあった。実現を促進したのはコロラド大学の小児科医Silverなどの理解ある医師からの協力であり、優れた看護実践家かつ大学教員として組織横断的に活動、教育する看護指導者の存在であった。NPが地域での実践を確立していくとともに、Physician Assistantは地域医療よりも高度医療機関における専門医の助手の役割を期待されるようになった。従来は医師の業務であった診断や治療の一部を看護師が実施することに対する法的な問題は、個々の業務手順書で示すのではなく、州の看護業務法においてNPの裁量権(Full Authority)を規定する方向で解決が図られている(看護登録法でもなく)。多くの州で看護師がPAから指示を受けることを禁止している。1990年以降NP、CNSの実践へのメディケア、メディケアによる支払いが行われている。 日本では2007年からのチーム医療の推進、地域包括システム、医師の働き方改革の流れで、看護師による医行為の一部実施のための特定行為研修制度が開始されたが、米国のように研修制度は大学院教育に位置づけられておらず、研修を受けた看護師も地域包括に資する人材として活躍するには至っていない。今年度より日本看護協会は、米国型NPについての検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
米国に関しては雑誌等に掲載された関連記事の収集がおおむね終わっており、分析中である。英国の史料調査はいまだ十分とはいえず、関連文献を引き続き収集中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き関係史資料の収集を行い、分析と関係者へのインタビューを実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学の業務が忙しく、英国での渡航調査行うための十分な日程を確保できなかったため
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