研究課題/領域番号 |
17K12098
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研究機関 | 名古屋女子大学 |
研究代表者 |
新實 夕香理 名古屋女子大学, 健康科学部, 教授 (20319156)
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研究分担者 |
太田 勝正 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (60194156)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 情報プライバシー / 電子カルテ / 表示方法 / 患者 / 看護師 / タブレット |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、患者のプライバシー上のニーズに基づく電子カルテ画面の一部非表示化を実現するために、患者のニーズを把握できる具体的な方法を明らかにすることである。 令和元年度は、看護師へのグループインタビューから得た結果から、模擬テンプレートの構成を検討し、患者向けの模擬的なテンプレート画面の改良版を作成した。具体的には、患者の理解を促進する目的で、音声ガイドの利用、イラストの挿入、専門用語の平易化、職種の説明などを実施した。 次に、入院患者40名を対象に、実際にタブレットを操作し表示される質問への回答によって、情報プライバシーに対する意向を聴取する方法に関する意見を得たいと考え、インタビュー調査を計画した。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止のため、医療施設から調査中止の指示があり、中断に至っている。調査はインタビューガイドに沿って実施し、基本属性(年齢、入院回数、カルテの閲覧経験など)、および質問に回答する際の操作方法、プライバシー項目の適切性と項目数、情報の共有範囲の決め方に関するご意見やご要望、回答結果を電子カルテの模擬画面に反映した際の満足度や感想などを尋ねた。インタビュー内容を逐語録として作成し、インタビュー項目ごとに内容を整理し、内容分析を実施する。分析過程は質的研究に精通した研究者のスーパーバイズを得て、信頼性と妥当性を確保するように努める。 また、タブレットを用いて情報プライバシーのニーズを把握する方法の評価について、第39回医療情報学連合大会(千葉県・幕張)でポスター発表を行った。演題発表を通じて参加者から有用な意見を得ると共に、医療機関・地域医療連携等における情報プライバシーに対する取り組みについて情報収集を行った。さらに、関連研究として、国際医療情報学会Medinfo2019(フランス・リヨン)においてポスター発表を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
患者対象のインタビュー調査に協力を表明した医療施設の医学研究倫理審査の手続きに予想外の日数を要し、計画通りに開始できなかったため、十分なデータ数を集めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年3月初旬に新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止のため、医療施設での調査を中止するように指示を受け、調査再開の見通しが立たない状況にある。このため、これまでに収集したインタビューデータの整理、解析を進める。今後、医療施設から調査再開の指示を受けたら、残りのインタビュー調査を実施する。また、状況によっては、研究デザイン、特に対象者の選定方法を見直し、十分なデータ数を集めることができるように努力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
患者を対象としたインタビュー調査が十分に実施できなかったことにより、次年度使用額が生じた。 本年度に計上していた調査旅費、調査協力への謝礼などの費用を令和2年度に使用する。また、11月に開催予定の医療情報学連合大会での情報収集、専門家との意見交換によって今後の研究推進のための貴重な知見が得られると考え、学会参加費および旅費に充てる。
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