研究課題/領域番号 |
17K12102
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研究機関 | 日本赤十字豊田看護大学 |
研究代表者 |
中島 佳緒里 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 准教授 (90251074)
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研究分担者 |
山田 聡子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 教授 (80285238)
竹内 貴子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 講師 (70387918)
安達 亜希 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 助教 (10794068) [辞退]
酒井 梓 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 助手 (90768805) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 軽擦法 / 副交感神経活動 / 皮膚表面温度 |
研究実績の概要 |
【目的】本年度は、身体接触技術による身体反応の特徴を捉えることを目的に、健康な成人を対象に軽擦法を用いた比較実験を行った。 【方法】参加者には10分間の安静座位、5分間のリラクセーション音楽の視聴後、実験群(軽擦群)では軽擦法を、対照群ではリラクセーション音楽を引き続き10分間視聴した。心臓血管系自律神経活動(BP・HR・HF・LF/HF)、皮膚表面温度(顔面・手掌)、アフェクトグッドは介入前後で、情動反応14項目、表現語26項目は介入後に測定した。 【結果】参加者は22名(平均年齢32.9歳)であった。心臓血管系自律神経活動の変化率は、対照群と比較して軽擦群で、%BPDと%HRで有意に低く、%HFで有意に高かった(すべてp<.05)。皮膚表面温度では、両手掌の最高値、左右の第3指先端の値において、対照群と比較して軽擦群で有意に変化率が高かった(すべてp<.01)。また、アフェクトグリッドにおいては、実施後のy値が軽擦群で有意に低値に移動した(p<.01)。介入後の情動反応では、「鳥肌が立つ」「体がこわばる」「歯をかみしめる」「目を見開く」項目で、軽擦法と感覚の減少との関連が認められた(p<.05)。表現語では「ゆるゆる」「カッカ」「ぽかぽか」「ぬくぬく」「じんわり」の項目で軽擦法と感覚の増加との関連が、「はらはら」「ぴりぴり」の項目で軽擦法と感覚の減少との関連が認められた(p<.05)。 【考察】アフェクトグリッドからみた背部軽擦法のリラクセーション効果は、眠気を強く感じることが特徴であった。また、自律神経活動と皮膚表面温度の変化から見た身体反応の特徴は、副交感神経活動の亢進と、それに伴う末梢血管拡張による末梢皮膚表面温度の上昇であった。さらに主観的身体反応は、緊張の緩和と体温上昇を示すオノマトペが選択されており、副交感神経活動に伴う身体反応と参加者の感覚との一致が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染対策のため研究参加者が募集できない。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染対策の状況を鑑み、応用研究における実験計画を組みなおす。基礎実験において、軽擦法の効果として副交感神経活動の亢進と末梢の皮膚表面温度の上昇が認められたことから、睡眠導入時に介入し、シングルケーススタディを用いて効果の検証をしていく計画に修正する予定である。なお、基礎研究も対象者数は少ないため、継続して進める必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス防止対策のため実験設定日が大幅に延期し、実験に使用する予定のサーモグラフィーカメラレンタル代金が次年度に繰り越しになった。
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