今年度は、健康問題がない20歳台の女性21名(21.7±0.6歳)を対象に、後頚部への湿性温罨法を10分間実施して、脳活動への影響について携帯型脳活動計測装置(HOT‐2000)を用いて測定した。測定間隔および脳活動の指標は、安静時・温罨法時・温罨法除去直後・温罨法除去15分後に前額部左右のoxy-HbT値とした。脳活動以外の測定として自律神経バランス分析測定器(Pulse Analyzer Plus View)を用いて心拍変動および血圧、脈拍の測定を行った。その結果、後頚部への湿性温罨法による脳血流の変化では、左oxy-HbT値は安静時と比較して温罨法除去15分後に有意な上昇がみられた(P<0.05)。右oxy-HbT値の有意差はなかった。後頚部への湿性温罨法による自律神経活動の変化では、交感神経活動は安静時と比較して温罨法除去直後・温罨法除去15分後に有意な上昇がみられた(P<0.05)。また、副交感神経活動においても安静時と比較して温罨法除去直後・温罨法除去15分後に有意な上昇がみられた(P<0.05)。身体的疲労度を示すPhysical stress indexは、実施前と比較して温罨法除去直後に有意に低下した(P<0.05)。温罨法の実施前後の比較による血圧と脈拍の有意差はなかった。これらの結果から、後頚部への湿性温罨法は、脳活動を活性化させ、疲労感を軽減させることが示唆された。
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