研究課題/領域番号 |
17K12115
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
林 智子 三重大学, 医学系研究科, 教授 (70324514)
|
研究分担者 |
井村 香積 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (00362343)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 職種間連携 / 意見の不一致 / 葛藤 / 葛藤対処スタイル |
研究実績の概要 |
医療分野の職種間連携が困難となっている主な理由の1つとして、意見の不一致があり、そのために対人葛藤が生じていることが示唆されている。これまでの研究では、職種間の意見の不一致を「葛藤」としては扱ってこなかった。そこで、本研究では職種間の意見の不一致を「葛藤」という概念から検討する。本研究の目的は、退院支援に関わる病棟看護師が他職種との「葛藤」をどのように認知し、どのように対処しているのかを明らかにすることである。 病棟に勤務する4名の看護師を研究協力者とし、半構造化インタビューを用いて質的記述的に分析した。その結果、葛藤が生じた職種は、医師2名、理学療法士1名、ケアマネジャー1名であった。看護師Aは「患者の退院希望を支援したい」と考えていたのに対し、医師は「感染リスクを考えて退院することに反対していた」ため葛藤が生じていた。看護師は「感染リスクを下げて退院できる方法」を間接的に提案し、直接的な交渉は行わなかった。結果的にそれを医師は受け入れ退院できた。看護師Bは「患者の子どもの誕生会をするために退院したいという希望を叶えたい」と思っていたが、医師は「移植の治療が最優先と考え」反対していた。しかし、結局退院は認められず、看護師には「最後まで患者の味方でいられなかった後悔」が残った。 4名の看護師の葛藤対処スタイルと葛藤対処後の結果をみてみると、1名が回避スタイルと妥協スタイル、1名が妥協スタイルと自己譲歩スタイル、2名が自己譲歩スタイルをとっており、統合スタイルをとった看護師はいなかった。統合スタイルをとるためには、互いに納得した解決策を導くことが必要とされていることから、話し合いをもつこと、議論の持ち方にも課題があると考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
職種間の葛藤を経験している多職種を研究参加者にする予定であったが、参加者が集まらず、看護師4名のみとなってしまった。「葛藤」というネガティブなテーマのため、協力が得られにくいのかもしれない。リクルートの方法や調査の方法を検討する必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
ピンポイントで参加を依頼したので、参加者が集まらなかったのではないかと考える。そのため、最初に質問紙調査を実施して、広く募集をかけてその中から協力してくれる方々を募ることとする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は最終年度であったが、計画がスムーズに進まなかったため、最終年度を2020年度へ繰り越すこととなった。2020年度は改めて、調査への参加を広く依頼し、研究参加者を集められる方法で行う。
|