研究課題/領域番号 |
17K12117
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
深田 美香 鳥取大学, 医学部, 教授 (10218894)
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研究分担者 |
櫛田 大輔 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (30372676)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 看護実践能力 / 看護師 / 自己評価 / 能力の獲得順序性 |
研究実績の概要 |
本研究は、臨床看護師の看護実践のためのコンピテンス獲得過程を明らかにし、看護実践能力の効果的な育成プログラムを作成し、その効果を検証することを目的とする。 1.鳥取大学医学部附属病院に勤務する看護師長以上の管理職を除く看護師を対象とし、横断的実態調査を実施した。調査内容は次の通りである。 1)研究対象者背景:年齢、性別、取得免許、業務、学歴、経験年数、勤務年数、職位、転職経験、専門資格、雇用形態、勤務形態、職場環境についての認識、勤務継続意思 2)看護実践能力自己評価:中山らが開発した「看護実践能力自己評価尺度 (Clinical Nursing Competence Self-assessment Scale : CNCSS ) 」を用いた。本調査票は、4つの看護実践能力の概念のもと13のコンピテンス項目それぞれに対応する64の質問項目から構成されている。コンピテンスは行動を起こしうる能力であり、そのコンピテンスを反映したパフォーマンス(行動)レベルで表現されている。各質問項目に対して、「実施の頻度」「達成の程度」の2つの側面から、それぞれ4段階のリッカート式で回答を求めた。396人の協力が得られ、データ確認、記述統計を算出した。 2.看護実践能力の獲得に関する国内文献の検討を行い、総説としてまとめ発表した。看護実践能力は、看護師としての役割をはたすために必要な中核となる能力である。そのため、看護実践能力の定義を明確にすることは、看護学教育のカリキュラム基盤を明確にするために重要である。しかし、看護の質の向上に重要な看護実践能力の概念は、いまだ発展過程にあり、今後、その定義や構造、看護専門職として獲得すべき能力レベル、育成方法など課題も多い。日本における看護実践能力の定義と属性、要素と構造、評価に関する研究を概観し、看護実践能力の育成方法について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査を予定通り実施し、データ分析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、中山らが開発した「看護実践能力自己評価尺度 (Clinical Nursing Competence Self-assessment Scale : CNCSS ) 」の13コンピテンスについて、「実施の頻度」「達成の程度」の記述統計を算出し、臨床経験年数との関係を分散分析により検討する。 さらに、各コンピテンスの獲得状況を確認し、経験年数別に算出した平均得点と回帰式により修得期間の予測を行う。具体的には、各コンピテンスについて50、70、90の各パーセンタイル値に到達する経験年数を予測する。また、階層構造化分析プログラム8,9)を用いて、各コンピテンスの他のコンピテンスへの影響度と各コンピテンスの独立性を算出する。 分析結果をもとに、看護実践能力の獲得順序性を考慮した看護師教育プログラムの開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に予備テストデータを用いて階層構造化モデル分析プログラムを作成する予定であったが、分析プログラム作成方法の目途がついたため、予備テストデータの取得は行わず、本調査を行った。平成30年度に分析プログラムの作成を行う。
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