本研究は,看護教員が授業経験を振り返り,教授活動を向上させる協働参加型授業改善プログラムを構築し検証する目的のもと実施した。 プログラムを構築する第1段階では,230名の看護教員を対象に授業設計における問題やニーズおよび授業設計における思考内容を調査した。調査した結果,看護専門学校の看護教員は,授業を振り返り,教授方略を考えることに困難を要していることが明らかとなった。また,熟練した看護教員は,授業設計を行う際,特徴的な思考プロセスをたどっていることが明らかとなったことから,この思考のプロセスを授業改善プログラムの内容に反映することとした。第1段階の研究結果をもとに,授業改善プログラムを構築した。 第2段階では,専門学校3校の看護教員21名を対象にプログラムを実施し,発言内容の質的分析および授業設計思考評価表(思考評価表),一般性自己効力感尺度(GSES)をもとに検証を行った。結果,質的分析では,【学生の学習能力・態度における発見】,【学習方法の再発見】など20のカテゴリーからなる学びが生成された。思考評価表では,『学生のレディネス把握』,『これまでの授業の省察』の項目が実施前に比べ実施中,実施後に上昇した。GSESも実施前に比べ実施後に上昇した。プログラムは,学生に関する見方,考え方を生み出し,新たな教授方略を見出すことが示唆された。また,省察が促進され,自己効力感が向上することが示された。 2017年~2019年にかけて,授業改善プログラムの構築から検証まで行い,第1段階での研究成果の国内,国外発表および学術誌投稿を行った。2020年は第2段階のプログラム検証における研究結果を国内学会にて発表を行った。
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