研究課題/領域番号 |
17K12122
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
遠藤 良仁 岩手県立大学, 看護学部, 講師 (00438087)
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研究分担者 |
伊藤 收 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (40320246)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 学習者中心パラダイム / 自己調整学習 / フォーカスグループインタビュー |
研究実績の概要 |
本研究は、看護師の生涯学習を推進するため、学習者中心パラダイムの原理に基づき看護師自らの自己点検を支援するLMSの開発を目的とするものである。二年目にあたる本年度は、昨年度の課題(集合研修後に参加者の自己点検と参加者間の触発を意図したLMSを試行した結果、後半にかけてアクセスが減る傾向が認められた要因の探究)の解決に向けた調査を行った。 昨年度試行したLMSのアクセスログの分析から、時間の経過に伴い課題の実践報告や学習者間の相互のコメントが減少した傾向が認められ、自身で自己の学びを管理する自己調整学習の獲得と関連が示唆された。 そこで、本年は当初予定を変更し対象となる看護師のキャリア形成にあたり自己調整学習の獲得の程度と獲得に向けた支援の様相を探索する質的調査を行った。岩手県内で教育・研究に定評のあるA病院において看護管理者より指導に定評のある看護師を紹介いただき、研究に合意した看護師長から看護師までの12名を対象に自己調整学習の獲得とその支援についてフォーカスグループインタビューを4グループに分けて行った。 本年度は、看護師の自己調整学習の獲得を支援する看護師長の認識に関する分析まで行うことができた。分析の済んだ3名全ての看護師長が自部所の看護師で十分に自己調整学習を獲得している看護師は看護師長自身を含めほとんどいないと捉えていた。特に階層目標の作成や低い自己効力感、能力帰属、不適応などに問題を認識していた。看護師の自己調整学習の獲得に向けては、クリニカルラダーに基づく成果レポートを作成させ「自己内省」に関与しようとしていた。しかし、それが強制や外発的な関わりになっていることは否定できなかった。以上から、看護師の目標決定と自己実現の主体的な選択を促進するための方略として、看護師の人才育成に影響力の大きい看護管理者クラスにとって自己調整学習の理解の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
看護師自らの自己点検ポータルの開発にあたり、試作したLMSの運用1ヶ月以降からアクセス率が減る傾向がみられ要因解明のため学習者中心パラダイムの観点の一つである自己調整学習から看護系人才育成の様相を明らかにすることが必要となった。新たな調査方法を検討し、教育・研究に定評のある協力病院において看護師の自己調整学習の獲得状況とその支援に関する看護管理者の認識を調査分析した結果、そもそも看護師の養成に大きな影響力を持つ看護管理者自身を含め、看護師全般に自己調整学習が十分に獲得されていないうえ、自己調整学習の獲得を促す組織的な取り組みも、外発的で強制力を持ち自発性や自己効力感を高めるとは言いがたいアプローチがなされている可能性が示唆された。そのため、看護師自らの自己点検ポータルの開発を通した個々の看護師へのアプローチ以前に、看護師への影響力の大きい看護管理者への教育的アプローチを優先する必要があることが示唆されたため。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度は、昨年度から試行中のLMSについて教育工学の専門家の意見を得ながら改善を進める。さらに、昨年度実施済みのフォーカスグループインタビュー調査の分析プロセスを進め、学習者中心パラダイムの観点からみた問題を明らかにする。また、学習者中心パラダイムのキー概念の一つである自己調整学習の獲得に関して看護管理者の理解が不足している実態が示唆されたことを受け、看護師長向けの学習教材の作成と評価を進めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度は、昨年度行った調査の成果発表のための旅費、宿泊費、出版費用の他、教育工学の専門家からの試作版LMSに関するコンサルテーションを得るための経費・謝金、LMSの保守・維持費、看護師または看護師長を対象とした調査、旅費、謝金、逐語録作成、情報収集等に使用する予定である。
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