研究課題/領域番号 |
17K12127
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研究機関 | 長野県看護大学 |
研究代表者 |
田中 真木 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (00405127)
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研究分担者 |
秋山 剛 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (20579817)
伊藤 祐紀子 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (50295911)
金子 さゆり 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (50463774)
多賀谷 昭 長野県看護大学, 看護学部, 名誉教授 (70117951)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 倫理的感受性 / 看護学生 / 看護倫理教育 / プログラム開発 |
研究実績の概要 |
COVID-19の影響により、今年度は研究計画書の修正、研究デザインの変更、ならびにここまでの成果報告を行った。国際比較研究の予定であったが、COVID-19の各国のロックダウンに伴い、海外の大学の倫理審査も延期となった。 よって、研究計画書を再考・修正を行い、今後の質問紙調査に向けてのアイテムプールを実施することへ計画を変更した。研究デザインは、ナラティヴ分析を用いた質的記述的研究とした。ナラティヴは人が過去を理解するための方法を提供すると同時に、過去の経験を構築するため、常に文脈の中で理解する必要性がある特徴を持つ。よって、アイテムプールのための質的調査による分析方法として、ナラティヴ手法が適っていると考えた。研究対象者は、看護系大学に所属する学生で、2021年2月に国家試験を終了し、3月31日までに看護学士課程を卒業する卒業予定者とした。なお、教員と学生間での強制力が働かないよう、研究者が教員として勤務する大学の学生、卒業生は除外した。データ収集期間は国家試験が終了した後の3月に実施した。サンプリングの方法は、機縁法を用い、選定基準を満たす対象者からサンプリングした。ナラティヴ研究手法を用いる際、Polkinghrne(1988;Polkinghrne、1989)は、その現象を経験している5名から25名にインタビューを行うことを勧めており、対象人数を15名程度とした。倫理審査を経て、国内の看護学士課程に所属する16名に半構成的インタビューを行い、倫理的課題への思考や行動についてデータ収集を行った。現在、分析の段階である。 また、昨年度実施したScoping Reviewの結果を国内学会1件、国際学会1件での発表、ならびに海外学術誌1件投稿(査読中)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の影響で、当初の研究計画を変更し、質問紙調査に向けてのアイテムプールを実施することへ計画を変更した。質的調査は倫理審査を経て、データ収集を終え、現在は分析の段階である。ナラティヴ手法における分析方法は、リースマン(2014)のナラティヴ分析によるテーマ分析と構造分析を行う。 現在、テーマ分析を行い、研究対象者から得た語りを逐語録に起こし、文章を精読した。語りを意味の区切りごとに要約し、問いとその展開が「何が語られていたのか」の視点で、研究対象者毎にストーリーを維持したままテーマを抽出し、そのテーマが持つ特性によって類型化している。テーマ分析の結果は、身体抑制からの問いとその展開の意味毎の区切りに見られるテーマ、その類型結果が明らかとななる。 また、昨年度の広範囲な倫理教育によるScoping Reviewの結果を国内学会1件、国際学会1件、海外学術誌1件に投稿した。国際学会では調査の結果ならびに、教育介入の方法、結果、評価方法について、カテゴリー化し、発表した。この結果によりどのような看護研究への貢献をするのかについて質問があり、この本調査の前段階の予備的研究の位置づけであることをディスカッションした。国内学会では、カテゴリー結果から、教育手法(Web based learning)に特化し、新たに考察したものを発表した。紙面上発表となったが、査読では、文献の発表だけにならず、考察の深化を求められた。考察は査読に沿い、修正し、紙面発表の運びとなった。海外学術雑誌は現在査読中である。
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今後の研究の推進方策 |
質的調査の分析では、テーマ分析を終了し、構造分析の段階に入る。構造分析では、語りの形式に着目し、問いとその展開が「どのように語られていたか」を分析の視点とする。 そこで、具体的な構造を見るにあたり、文献検討やPersonal Communication、予備研究の結果から、問い、問いの編集、問いの展開について用語の操作的定義を行い、それらを参考例図として分析の参考に用いることとする。それを用い、看護学生が身体抑制から得た問いはどのようなものか、問いを明らかにするための思考や行動となる問いの編集はどのようなものを経ながら展開していったのかを明らかにしてゆく。 構造分析の結果は、身体抑制からの問いとその具体的な編集がどの様な経験によって展開されたのかが明らかとなる。その結果を集約し、質問紙調査のためのアイテムを精錬し、質問紙を作成する。 また、投稿中の論文に対し、査読対応を行い、公表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で、海外旅費ならびに通訳料、現地での調査に関わる諸経費が未使用となった。研究計画を精錬し、国内での質的調査に関わるデータ収集の謝金、逐語録料、オンライン面接となり、対象者へのレンタルルーターの経費が生じた。また、海外学術雑誌への投稿に関わる英文校正料、海外学術学会発表時の校正料等、研究成果の発表に関わる諸経費が今後生じる。さらに、投稿にあたり、考察を行う上での文献複写費用、書籍購入も含まれる。また、収集したデータをクラウドに保存している。今後、生データの保存に関わるクラウド使用料、文献整理のためのデータソフトアップデート料、使用する端末機器の最新版への機種変更等予定している。
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