研究課題/領域番号 |
17K12132
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
加藤 法子 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (20330699)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 看護技術 / 吸引 |
研究実績の概要 |
吸引は看護技術の中でも侵襲を伴う技術として位置づけられているが、看護師養成課程での教育においてはモデル人形で実施できるレベルを目標と定めており、卒業後に患者へ実施する経験を通して技を獲得していくのが現状である。このため、経験の未熟な看護師が吸引を実施する場合、吸引そのものの苦痛に加え、技術の未熟さからくる苦痛も生じる。そこで本研究では経験知に着目し、初学者と経験豊富な対象との吸引技術の比較から伝達可能な知識を抽出し、初学者の技術向上に向けた新たな教育方法を目指すことを目的としている。吸引動作の比較には、動作と吸引時の思考の側面の両面を比較して伝達可能な知識を抽出することを目指している。 平成30年度は、前年度に作成した実験計画に基づきプレテストを実施し調査方法の見直しを行った。吸引動作においては、吸引に伴い生じる音や指先で感じる感覚などの様々な情報を頼りに、カテーテルを微調整しており、その過程においては多くの判断を行っていた。これらの判断の部分を経験知として明らかにするために、思考面の調査項目の見直し等を行った。動作については、吸引動作は複数の巧緻動作を組み合わせており、また、吸引対象者(本実験ではモデル人形を使用)と吸引実施者の位置関係等で結果が大きく異なる事から、動作分析の視点の再調整と条件等の見直しを行った。また、研究者が所属する研究機関の研究倫理委員会の審査を受け、初学者を対象とした調査を実施の承認を得ることができた。 平成31年度は、初学者を対象とした調査に加え、経験豊富な対象の調査に向けた準備と実施を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では、研究倫理委員会の申請、プレテスト、調査を実施する予定であった。しかし、プレテストの結果、実験条件の見直しや調査方法の再検討が必要となったため、その検討に時間を要し、本調査を実施するに至らなかった。また、動作の分析では、複数のカメラを使用するため、カメラ間の同期が必要であるが、同期がうまくいかず、機器メーカーとの調整にも時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は初学者を対象とした調査に加え、経験豊富な対象の調査に向けた準備と実施を行う予定である。計画の遂行にあたっては、調査対象者との日程調整等が必要になるため、調査に多くの時間を要する。このため、必要に応じて調査計画の見直しや調査協力者の雇用などを行い対応したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は調査の見直しや倫理申請準備等を中心に行ったため、調査で必要な人件費等を使用する事がなかった。次年度は、調査に伴う人件費や謝金等を中心に助成金を使用したい。
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