看護学生のケアの倫理的行動のベンチマークと看護学生の倫理的行動の関連要因を提示するために、「看護学生版ケアの倫理的行動尺度」などを用いた全国調査を行い、看護学生の倫理的判断能力の獲得を目指した科学的かつ効果的な看護倫理教育のあり方について検討した。対象は、全国の最終学年の看護学生4930名にアンケート調査を実施した。調査項目は、「看護学生版ケアの倫理的行動尺度」29項目と看護倫理の知識26項目と学習支援に関する55項目からなる。ベンチマークは「看護学生版ケアの倫理的行動尺度」5因子のパーセンタイル値(到達率)を算出し、関連要因の検討は重回帰分析を行い、標準回帰係数を求めた。 その結果、看護学生のケアの倫理的行動の80パーセンタイル値(到達率)は、【安全なケア提供】37点(92.5%)、【自己決定の尊重】28点(70.0%)、【個人情報の保護】23点(92.0%)、【最善のケア提供】23点(92.0%)、【個人の尊厳尊重】13点(86.7%)であった。 次に、看護学生の倫理的行動の関連要因(知識、学習支援)は、「シミュレーションで倫理的問題に対応できなかった時に、その原因を一緒に振り返ってくれた」と【自己決定の尊重】(β=.151)【最善のケア提供】(β=.104)【個人の尊厳尊重】(β=.155)が、とくに高い関連を示した。これら関連要因を提示したことで、倫理的行動の質を高める具体的かつ効果的な学習支援が明確になったと考える。
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