研究課題
最終年度は、これまでの研究成果を踏まえて、看護学生の深層的学習アプローチの向上に資する教育プログラムを開発し、その効果を検証する予定であった。しかしながら、新型コロナウィルス感染拡大防止によるオンライン授業の実施や、対面授業時における学生間の距離の確保などのために、プログラムを計画・実行することができなかった。そこで従来の研究目的に変え、看護学生の学習アプローチと学業成績の関係を検証するためのシステマティック・レビューを行った。CINAHL,MEDLINE,PubMed,ERIC,そして Scopusを使用し,2020年11月までに出版された英論文をキーワード検索した結果,150文献が抽出された。2人の研究者が独立して抽出された論文の文献名,抄録,そして本文を精読し,選定基準・除外基準に照合しながら文献を選定した結果,最終的に11文献が分析対象となった。これらの文献に記されている研究の質を確認した後,学習アプローチと学業成績の関係を示す相関係数を抽出し,メタ分析を行った。メタ分析の結果,深層的学習アプローチ(9文献,N = 1830)は看護学生の学業成績と正の相関関係(r = 0.259)を示し,表層的学習アプローチ(11文献,N = 2138)は負の相関関係(r = -0.247)を示すことが明らかとなった。学生自らが学習テーマに興味を持ち,そのテーマを理解するために意欲的に学習し,得られた知識を既習の知識と関連付けるといった学習を伴う深層的学習アプローチは,看護学生の知識習得に有効であり,促進するべき学習アプローチと言えることが示唆された。一方で,試験に合格するための暗記学習に代表される表層的学習アプローチは,非効果的な学習アプローチであり,抑制する必要があることが示された。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件)
Journal of Professional Nursing
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