研究課題/領域番号 |
17K12157
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
細名 水生 神戸大学, 保健学研究科, 講師 (90454181)
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研究分担者 |
石井 豊恵 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (00452433)
上杉 裕子 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (40423230)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 交代制勤務 / 生体リズム / 光環境 / 看護師 / 睡眠 / 疲労 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は交代制勤務に従事する看護師において、夜勤中及び日中の仮眠時の光曝露による生体リズムへの影響を明らかにすることである。本年度は看護師への調査の前段階として交代制勤務者の生体リズムの測定分析に関して文献検討、国内における交代制勤務に従事する看護師の生体リズムに関する研究の情報収集を実施した。文献検討の研究成果は第21回日本看護管理学会学術集会で発表をした。 文献検討は過去10年(2007~2017年)で「交代制勤務」と「生体リズム」の2つのキーワードを掛け合わせて検索し、研究内容に沿って分類した。交代制勤務者の生体リズムの検証には生理的指標及び心理的指標を用いられており、生理的指標では末梢血白血球、概日時計遺伝子、唾液中もしくは血中コルチゾール値、唾液アミラーゼ値、舌下温、心拍数、フリッカー値、アクチグラフや睡眠ポリグラムが用いられていた。心理的指標では睡眠尺度、疲労感、ストレス、抑うつ、気分状態の尺度が使われ、夜勤に伴う眠気、疲労やストレスの増大で検証されていた。 以上より、交代制勤務者の生体リズムの検証において、夜勤に伴う睡眠や疲労に関する視点が不可欠であり、眠気や疲労などの主観的側面を調査することから生理的指標とともに心理的指標を合わせて用いる必要性が確認された。交代制勤務者のなかでも看護師は、患者の生命に関わる職務であり、長時間高い緊張を保持しながら職務にあたり疲労は高いことから睡眠や休息の質は重要である。夜勤に伴い生体リズムの変調をきたし看護師の疲労回復のための睡眠や休息の質への影響を考慮する必要がある。看護師を対象とした生体リズムを測定する調査では24時間職務中に測定することも生じる。腕時計型のアクチグラフや侵襲がない唾液検査等の職務に支障をきたさない簡便さ、身体的、時間的負担がない指標を用いることが重要であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、交代制勤務者の生体リズムに関する文献検討と看護師の生体リズムに関する研究の情報収集を行った。本来は交代制勤務に従事する看護師と非交代制勤務の看護師において生体リズムと光環境の調査を実施する予定であったが、年度初めに予定していなかった他学部の授業科目の主担当を急遽担う事態となり、加えて他の担当授業科目において授業期間でない夏季及び春季休暇期間に継続的に授業開講を要した。そのため教育に関するエフォートが例年以上に高く、計画通りに研究を進める時間の確保に困難をきたした。本年度の計画における交代制勤務者の生体リズムに関する文献検討と情報収集を実施し、交代制勤務の看護師と非交代性勤務の看護師を対象とした2つの調査の準備段階まで進められているが、調査の実施までは至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は前年度からの調査準備が整い次第、まず交代制勤務に従事する看護師の生体リズムの実態を調査する。その後引き続き非交代制勤務の看護師において同様に生体リズムの調査を行っていく予定である。本研究の対象施設は、先行研究でも調査経験があることから、段取りを円滑に行い対象施設の看護部と調整を行いながら計画的に遂行することを目指す。また、得られたデータは調査の遂行と同時にデータの入力および解析作業も進めていくことで、計画の遅延を調整していく。解析では交代制勤務の看護師と非交代制勤務の看護師との比較から、交代制勤務に従事する看護師の光曝露と生体リズムの実態を明らかにする。次年度の調査が終わり次第、交代制勤務に従事する看護師を対象とした光環境の調整の介入研究を進めていく。さらに次年度は研究成果を国際および国内学会で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は研究計画よりやや遅れており、交代制勤務に従事する看護師と非交代制勤務の看護師を対象とした調査の準備段階に留まり実施に至らなかった。そのため、未購入の調査機器、測定データの解析の関連物品、測定指標の検査会社への委託料の執行ができなかったため余剰が生じた。次年度は、本年度予定していた交代制勤務に従事する看護師及び非交代制勤務の看護師の2つの調査を円滑に実施しすることから未購入の物品と検査会社への委託料、また解析に伴う機器およびソフトウェア購入において執行予定である。また、次年度は国際及び国内学会で研究成果の発表のため旅費を使用する予定である。
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