研究実績の概要 |
今年度は過疎高齢化地域の中小規模病院で得られた感染管理体制構築の基礎資料を現実的なものとするため、調査を山梨県峡南地域だけでなく峡北地域にまで拡大し、中規模病院で感染対策を担当している看護師を対象に自施設における感染対策上の問題や不安等について半構成的面接を実施した。感染症疑い患者の対応で看護師は「感染拡大の防止」 「実践者の予防行動」 「患者・家族への気遣い」を意識し、看護するようにしていた。 感染防止対策加算の取得状況と感染症専門医・感染管理認定看護師の登録状況の調査では、2014年と2018年のデータを病院規模別に比較検討した。2018年の感染防止対策加算1は、1,316施設中923(70.1%)が大規模病院、392(29.8%)が中規模病院、加算2は2,709施設中2,320(85.3%)が中規模病院、235(8.7%)が大規模病院であった。加算1は23.0%、加算2は6.3%の増加がみられたが、95.0%以上が大規模病院と中規模病院で占められていた。感染症専門医は、1,411人中884人(62.7%)が大規模病院、199人(14.1%)が中規模病院、196人(13.9%)が診療所に所属していた。感染管理認定看護師は、2,706人中1,536人(56.8%)が大規模病院、760人(28.1%)が中規模病院の所属であった。感染症専門医は18.9%の増加、感染管理認定看護師は50.0%の増加がみられ、認定看護師は1.5倍となっていた。以上のことから、2014年と同様に認定看護師の大規模病院と中規模病院への偏り、専門医の大規模病院と無床診療所への偏りが認められ、小規模病院と有床診療所の費用不足ならびに専門的知識を有する人材不足が認められた。 また、峡南地域の中小規模病院や診療所で勤務する看護職者を対象に、本研究成果をふまえた講演を行い地域に還元するよう努力した。
|