研究課題/領域番号 |
17K12175
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
高山 裕子 東京医療保健大学, 医療保健学部, 准教授 (00637803)
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研究分担者 |
鈴木 英子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (20299879)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 女性看護師 / 子育て時期 / メンタルヘルス / バーンアウト / 因果モデル |
研究実績の概要 |
本研究は、子育て中の女性看護師のバーンアウトに影響を与える要因を、子育て時期ごとに明らかにし、予防対策の具現化に役立てることを目的としたものである。 神奈川県内の市立病院に勤務する看護師3,758名を対象に質問紙調査を実施した。回収数は2,624名(回収率69.8%)であった。このうち、女性看護師の有効回答2,047名を、子育て時期別に6つのグループ(①子どものいない者1,115名、②3歳未満の子どもを持つ者152名、③3歳~就学前の子どもを持つ者176名、④小学生の子どもを持つ者237名、⑤中学生の子どもを持つ者73名、⑥高校生以上の子どもを持つ者294名)に分類し、それぞれのバーンアウト因果モデルを作成した。共分散構造分析にて適合度を検証し、適合度が採択基準を満たしたモデルにて影響要因を明らかにした。 女性看護師のバーンアウト因果モデルは、子どものいない者(①)、中学生以下の子どもを持つ者(②③④⑤)、高校生以上の子どもを持つ者(⑥)の3通りとなり、いずれも採択基準を満たす適合度を示した。対象者(①~⑥)すべてにおいて、イライラ感、自身の健康問題、職場への満足感が、バーンアウトに影響を及ぼす要因であった。超過勤務時間の長さは、小学生以下の子どもを持つ者(②③④)ではバーンアウトの増強に影響していたが、それ以外の者(①⑤⑥)では影響していなかった。さらに、子育てを困難に思う気持ちは、バーンアウトには影響していなかったが、小学生以下の子どもを持つ者では、イライラ感の増強と職場への満足感の低下に影響していた。 女性看護師のバーンアウトに影響する要因は、子育て時期によって異なっていることが明らかになった。それぞれの時期にあわせたサポートが、バーンアウトの予防や低減には有効である。今後本結果より、具体的な予防対策やサポート内容を検討し発信していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究目的である、子育て時期ごとのバーンアウト因果モデルの作成および検証を達成し、学会での結果発表と論文の作成にすでに取りかかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
女性看護師のバーンアウトの因果モデルを、子どもなし、および、子育て時期ごとに作成・検証し、それぞれの子育て時期によってバーンアウトに影響する要因が異なるということを明らかにした。今後は、本結果の考察を深め、それぞれの時期に合った予防対策や支援を具現化していく。 本研究では、子育て中の女性看護師に焦点をあてた。しかしながら、実際には、子どものいない女性看護師も高いバーンアウト状態にあり、対策の必要性が考えられた。子どもの有無で群間比較を実施し、子どものいない者についても視点を拡げて検討していくことを今後の課題としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究論文の英文翻訳費用が、本年度の残金では不足であったため使用せず、次年度助成金と合わせて翻訳費用とする予定である。
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