本研究の意義は、看護師のチーム連携の向上を目指すことで、看護師の働きやすい環境を整え、患者の医療安全や早期退院に寄与したいというものであった。その背景には、チーム医療の推進が言われる中、いまだ医療現場においては、多職種連携の困難な状況が報告され、特に医師との連携においては情報の不足および看護師と医師との患者目標の共有が行えないなど看護師の困難感や、患者の不利益な状況があることであった。しかし、これまで看護師の実践するチーム連携を評価する適切な指標(尺度)が存在せず、何がチーム連携に影響を及ぼしているか明らかになっていなかった。 そこで、初年度(2017年度)では、看護師の病棟チーム連携評価尺度を開発した。先行研究から質問項目を選定し、ブレーンストーミングを繰り返し行い、開発尺度の信頼性および妥当性の検証を行った。2018年度では、開発尺度の論文執筆を行い、国際学会での発表を行った。さらに学術誌に掲載され、尺度の汎用性が認められた。 次に、開発尺度を用い、関東圏の一部で縦断調査(6施設の看護師3303人を対象)を行い、チーム連携への影響要因を明らかにした。本研究において、チーム連携への影響要因として、看護師のアサーティブネス力や、ワークライフバランス等が明らかになった。また、小児科病棟所属の看護師のチーム連携得点は有意に低かったことが分かった。しかし、この結果は、一部の結果に過ぎないため今後、全国調査を行い、影響要因をさらに明らかにしていく必要がある。そして、その影響要因を明らかにし、看護師研修のためのプログラム開発を行っていきたい。
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