研究実績の概要 |
本研究では看護師のキャリアトランジション(移行)のプロセスを、Meleisのトランジション理論の理論枠組みを用いて解明することを目的とした。2017年度は研究1として、中期キャリア看護師のトランジション状況を明らかにするために質的帰納的に分析した結果、中期キャリア看護師のトランジション状況は8カテゴリーが抽出され、これらの抽出されたカテゴリーは、《個人》、《コミュニティ》、《ジェンダー》の単一のトランジション状況だけでなく、複数のトランジションに関与している構造が示された。 また、2018年度は研究2として、研究1で明らかになった中期キャリア看護師の「トランジション状況」のカテゴリーを下位概念、サブカテゴリ―を質問項目とする、中期キャリア看護師のトランジション状況自己評価尺度(TCSAS)を作成し、その信頼性・妥当性を検討したと同時に、TCSASを試用し活用可能性を検討した。その結果、TCSASは23項目6因子で構成され、併存妥当性、信頼性と弁別力を持っており、キャリアの転換期である中期キャリアの看護師のキャリアの支援となる尺度が作成でき、成果を得たといえる。 これらの結果をまとめ医療看護研究(2018)に論文を掲載し、第22回日本看護管理学会及び第22回EAFONSで発表し、「Meleisの移行理論を枠組みにした中期キャリア看護師のトランジション状況自己評価尺度の開発」第39回日本看護科学学会学術集会(2019.12.1)、Development of transition conditions self-assessment rating scale of Japanese Mid-career nurses based on Meleis transitions Theory, The 6th WANS(2020.2.28)で発表を行ってきた。今年度は未発表であった「TCSASの活用可能性の検討」について日本看護科学学会学術集会での発表を行った。国際学会でも発表を検討し、論文の翻訳を行い準備していたが、新型コロナ感染症の影響で国際学会の中止や開催延期となり発表の機会は得られなかった。
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