研究課題/領域番号 |
17K12182
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
坂本 なほ子 東邦大学, 看護学部, 准教授 (20398671)
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研究分担者 |
中山 明峰 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (30278337)
羊 利敏 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 臨床研究センター, (非)研究員 (40470017)
小山田 恭子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (70719252)
福田 美和子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (80318873)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 強み自覚 / 看護学生 / 離職 / 健康管理能力 |
研究実績の概要 |
近年、職場不適応は社会的な問題であり、看護職においても、新人看護師の職場不適応やそれにともなう早期離職への対策は重要な課題である。本研究では、汎用性機能の中でも「自己肯定感」や「自己理解」が、新人看護師の職場適応やその後の定着率に大きく影響していると仮定し検証を試みる。卒業生をコホートとし、入職前と卒後1年後の2回のWebによる質問票調査、および、離職者に対する面接調査を多施設共同研究として実施し、次の3点を明らかにする。①卒業時の「強み自覚」と入職1年後の定着/離職の関連、②卒業時の「強み自覚」と職場適応の関連、③卒業時の「強み自覚」を向上させる在学中の要因。2018年度は、多施設で実施可能な調査項目の調整とコホート作成の手続きの確認、Web調査画面の作成を行った。2019年3月に1回目調査を実施し、2020年3月1日から3日の間に、2回目のWeb調査の案内と協力依頼を登録されたメールアドレスへ送信し、調査を実施した。今回は、過去1年間に1度以上離職をした方に対し面接調査の依頼も行い、ご協力いただける方に改めて連絡のつくメールアドレスのご提供をお願いした。期間中に、数人から面接調査への協力の申し出があり、日程調整を始めた。しかしながら、新型コロナ感染症による外出自粛、および、その後の緊急事態宣言により、実施は延期となっている。 2019年12月には第39回日本看護科学学会学術集会において、看護学生の卒業時の「自己肯定感」と「自己健康管理能力」について解析を行い、その結果、自己肯定感の高い学生は健康管理能力が高いという結果を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、単一施設での調査研究を予定していた。しかしながら、単一施設での研究結果は、施設が特定しやすいという短所や、期待するアウトカムの発生数が少数で解析に耐えうるサンプルサイズが得られない可能性が大きいことから多施設共同研究に変更した。また、計画当初同一施設に勤務していた2人の研究分担者がそれぞれ他の施設へ異動したため、新しい勤務先を含む多施設共同研究を実施することが容易な状況と変化している。各施設での学生リクルートのための方法やコホートを作るための手続きが同一ではないため、同一プロトコールで実施できるようなプロトコールの検討および倫理審査の申請に予想以上の時間を費やしたため、遅れている。 さらに、2020年5月~6月に面接調査を実施する予定であったが、新型コロナ感染症によって面接調査の実施が困難となっている。
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今後の研究の推進方策 |
調査のデータ集計や解析を行う。主な評価は、卒業時の強み自覚の高低群における離職率の比較であり、その他、強み自覚と各尺度の関連を解析する。1度以上離職した者で2回目Web調査時に面接調査への参加協力可とした者に、面接調査の日程調整を再度行い、面接調査を実施する。調査内容は、離職に至るまでの経過について、時期とそのように考えた時間的経過が明確になるように、尋ね返すのみとし、自由に語っていただく。協力者の同意を得てICレコーダで録音し、後日、逐語録を作成する。以上の量的および質的研究により、①卒業時の「強み自覚」と入職1年後の定着/離職の関連、②卒業時の「強み自覚」と職場適応の関連、③卒業時の「強み自覚」を向上させる在学中の要因を明らかにし、今後の大学教育の中で結果を活かせるプログラムを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
「新人看護師の定着に関連する要因を探索するコホート研究」の開始が1年遅れたため、結果を得る時期も1年遅れています。そのため、当初予定していた学会報告や論文作成も遅れており、当該年度に予定していた支出が発生しませんでした。しかしながら、今年度は、それらの活動を行う予定であり、予定金額の支出が予想されます。
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